約 1,837,620 件
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/358.html
時の結実――すなわち成長 ◆ZqUTZ8BqI6 【15時22分】 「現状は……どうにかなった……ということか?」 迂回をくり返し、ようやく爆心地から少し離れた所にあるナデシコへとユーゼスは到達する。 乗り込むその機体は、酷く不完全で、規格の合わないパーツを継ぎ合わせたようなチグハグな外見だった。 それもそのはず。 本来規格の合わない、しかも腕などの上から噛み合わせるかたちで装着するデータウェポンを無理やり手足として機動させているのだ。 ユーゼスが確保したデータウェポンは合計4基。 右腕――ブルホーン。 左腕――ユニコーンドリル。 右足――レオサークル。 左足――ドラゴンフレア。 4基の装着されたデータウェポンを四肢として、一機のメディウスの安定剤にしている。 ラーゼフォンから強引に引きはがされたため、装甲はところどころ砕け、ひび割れてしまった。 支える基礎となる四肢なきまま不安定につけられたデータウェポンと、砕け内部の露出した現状では、もしも奴らに会えば敗北は必至。 それでも、ユーゼスが姿を隠しながらナデシコへと足を向けた理由は、一つ。 まさしく、奴ら――すなわちネゴシエーター一同――との関係が険悪だからだ。いや、最悪と言ってもいい。 もし会えば殺されるかもしれない最悪の相手が側にいる場所へ、最悪の相手がいるから向かう。 一見矛盾しているように見えるが、これにはけして矛盾していない。 ユーゼスは超合理主義だ。そして、理論は感情を超越すると思っている。 無論、理屈より感情を優先する相手もいるのは知っているが、今回の場合、相手の一団にはネゴシエーターがいるのだ。 故に、ユーゼスはこう判断した。 現実に沿う利益さえ示せば、感情面において最悪の自分でも生存しうる、と。 では、自分が現在示せる最大のメリットとはなにか。 簡単だ。自分がもっとも信頼でき、そして他者が及ばないと信じられるものは、この頭脳。 引いては、工学系の深い知識――つまり、首輪を解除しうる知識だ。 さらに、自分は殺し合いの中、さまざまなデータを確保し、検証してきた。 これは誰にも及び付かないことだと自負している。 しかし、それも現段階で、という話。これから奴らが首輪を解析すれば、自分のアドバンテージは減る。 自分ほどでないにしろ、首輪の構造程度なら解析するだけの頭をもった人間もいるかもしれない。 最悪、自分は用済みだ。 それを防ぐためには、相手が首輪を解析しうる施設、あるいはそれに準じるものを全て掌握、不可能なら抹消すればいい。 首輪を操作できるのは自分だけ。そうなればあの化け物への反抗を願う者たちはすべて自分にひれ伏すことになる。 そのために、ユーゼスは危険を冒してでもナデシコへ進んだのだ。 「……残念だが破壊するしかないか。だが、それでも役に立ってもらうぞ」 現在のナデシコは、推進部が破壊されている。 仮に破壊されていないとしても、この巨体が宙を飛ぶとなれば、否応なしでも目立つ。 ナデシコの速度では、目一杯飛ばしても足の速い機体には補足される。そうなれば、戦闘は避けられない。 修理や何らかの措置を施すことも考えたが、それをする時間もない。 今こうしている間にも、奴らは姿を見せるかもしれないのだ。 戦闘だけは現状避けたいユーゼスにとって、このナデシコをどうにか確保、使用することは不可能だった。 しかし、それは利用価値が完全にゼロであることを示すわけではない。 ユーゼスは、機能を現在停止しているナデシコの熱源をサーチ。 そして、微弱な反応があったその中心へ、一気にユニコーンドリルを差し込んだ。 歪なユニコーンドリルで形作られた腕が掴むのは、ナデシコの心臓部。 動力炉である、相転移エンジンだった。 「意外に小さいな……このサイズ2つと補助動力炉4つで300m級戦艦を航行させているとは」 引き抜かれた腕の2,84mの球体を眺め、ユーゼスは呟く。 高いレベルの技術力に対する純粋な賛美。その青く照らし返す銀色の球体を、しげしげとユーゼスは見つめ――取りこぼした。 「な……!?」 握っていたユニコーンドリルの手が、球体を中心に光の屈折が起こったかのようにぶれたのだ。 突然の出来事に、反射的に機体をひかせた結果腕から球体はこぼれおちる。 落ちた球体は、何度か光の照り返しを行うと、音もなく光を失った。 「空間直結連動型エンジン……? それとも相転移炉循環型エンジンか……? ……ちょうどいい、これを使わせてもらおう。レオサークル……『ハイパースキャン』」 ぎちぎちと音を立てて変形する右足。 それに合わせて、目の前の物体のデータが集積され、ユーゼスのコクピットにあるウィンドウへ調べた結果の詳細が表示される。 その結果を見て、ユーゼスは目を細めた。 「なん……だと? 相転移炉……これは……!」 相転移エンジン――それはインフレーション理論で説明されている真空の状況下における相転移を利用し、 真空の空間を、エネルギー準位の高い状態から低い状態へ相転移させることでエネルギーを発生させる技術である。 故に、大気圏内では機能はそこまで高くない。真空下に比べれば格段に劣るだろう。 だが、相転移エンジンの最大の特徴はそこではない。事実上、無から有を作り出すことで、半永久、半無限の力を生み出すことができるのだ。 一回、一時間、どんな単位の基準でもかまわないが、一ケースごとの放出量は少なくとも、時間をかけることで総合的には大きなエネルギーを生み出せる。 以前、ブラックゲッターからメディウスへ移行したエネルギーが、使用したとみなされず補給されなかったことからユーゼスはこう考察した。 この会場におけるエネルギー総量は有限であり、時間がたち機体が破壊し使用不能になるたびその総量は減る――と。 しかし、このエンジンはその枠を破壊しうる。なにしろ、『上限なし、無限を発生させる』のだから。 多少エネルギー変換効率が悪いのは、問題ない。 ただ……今度は逆の問題が生じる。 ナデシコから採取した相転移エンジン2基。そして核パルスエンジン4基、これだけのものを現状メディウスが積み込むことができないのだ。 現状大型機並みのメディウスでも、戦艦のエンジン全てを搭載するにはサイズが足りない。 さらに、強引に積み込んだとしても今のメディウスではそれだけの膨大なエネルギーを使用、および貯蔵することは難しい。 コンパクトで、物質への変換性を持つ高エネルギー物質がベストだが、そんなものはここにはない。 余談だが、とある世界でメディウスが取り込んだラ・ムーの星はその全ての条件を満たした物質だった。 超巨大な姿へライディーンの質量を増大させ、大きさは数センチでありながら、莫大なエネルギーを保有していた。 話を戻すが、今のメディウスは、成長にエネルギーがいるが、現状飽和量のエネルギーを取り込めば物質に変換できない以上崩壊してしまうのだ。 こればかりはどうしようもない。急激なエネルギーの収集に耐えられるだけの基礎、肉体をどうにかして作り出す必要がある。 「これを持って、A-1に向かうのが現状最高か……? テンカワ・アキトの回収もしたいが、リスクが大きすぎるな……」 扱いにくい手駒プラス研究対象としての価値と、今からさらにネゴシエーターたち相手に近づく危険を天秤に乗せる。 貴重な手駒としての価値も、あの二人で埋め合わせできた。今から、向かうのはどうなのか。 そう考えながらもひとまずこの場を離れようとしたときだった。 天を覆う大群が、こちらに迫ってくることにユーゼスは目をむいた。 「二人とも! 大丈夫ですか!?」 キラが、気絶した二人へと声をかける。 あの戦いが終わったあと、力を使い果たし、気を抜いたためか、バサラとシャギアは気絶してしまった。 元々、シャギアは相当な境地まで精神をすり減らしたうえで、あのヒメの誤殺からずっと気を張っていたのだ。 そこから意識が困憊するに至り、戦闘の終わりと同時に限界がきた。 バサラも、時間は短かったとはいえ激動、激震の状況を全力全開で動き続けたのだ。 泥のように今はラーゼフォンの中で眠っている。 どうにかあの戦いを切り抜け、この場に残っている面々は、まず情報の交換、そして負傷者の最低限の処置を行うことにした。 なにしろ、全員この場にたどり着いた途端戦いに巻き込まれていき、全景を正確に把握しているものがいないのだ。 まず、情報や認識、立場の祖語を埋めなければ今後の行動も決定しようがない。 無論、ユーゼスや危険人物の追走などから、時間も大切であることは分かっている。 しかし、現状一度戦いを潜り抜けきった時に整理しておかねば、また連戦となり結局意思疎通ができなくなる可能性もある。 どうにかナデシコの惨状を知るシャギアが起きたのは、戦いが起こって30分経ってからだった。 ロジャーとブンドルが機体に乗って周囲を警戒し、キラ、甲児、アイビス、ソシエはシャギア、バサラの様子を確認し、今に至る。 「それじゃ、俺がブンドルさんと行ったあと……」 「ああ……その通りだ。予定の地点へ……進んでいた、我々は……テニアと合流し―――」 とつとつと、どうにか紡ぎだすシャギアの言葉は、すべての誤解を解くに値する言葉だった。 両者にもぐりこみ、内乱、自滅を誘った人間がいる。そして、その人間こそ他でもないテニアだった、と。 結局、ナデシコチームも、Jアークチームもその言葉からくる疑心暗鬼に乗せられていた。 そして、ナデシコチームはテニアの予想外の出来事が重なった結果か、ほぼ全滅に至る。 テニアは裏切り、オルバとヒメは死に、ガロードとクインシィは消えた。残ったのは、シャギア、甲児、バサラのみ。 「それじゃあ、今ナデシコはどこに?」 しばらく話し、内容がこの戦場に差し掛かった時、キラはシャギアに問いかけた。 「分からん……バサラに任せ、後退したのは……いいが、その後……ユーゼスが、 ナデシコをどうしたのか。分かるのは……私ではなく――」 シャギアは疲労しきった顔でラーゼフォンを見る。全員が、その意味を理解した。 そう、ナデシコがどこにあるか、どうなっているかを知る人間はバサラだけなのだ。 その肝心のバサラが気絶しているのだからどうしようもない。 最悪、あのユーゼスがどさくさ紛れに強奪、今頃奴の手札となっているかもしれない。 ただでさえ、サイバスターのコスモノヴァクラスの破壊力の武器が複数必要なこの段階で、これだけの機体の損失は重すぎた。 「もし、彼等が残ってくれればよかったのだが……」 「そもそも、先ほどのあれはなんだったんでしょうか……?」 ほんの僅か、声に力をいれてシャギアは言った。 「……我々には及び付かない。ただ、分かることは『もうガロード・ランは帰ってこない』ということだ。少なくともこの場は」 あの目の当たりにした超現象。誰一人として理解の追い付かぬ先へと彼らは行ってしまったのだろう。 あの衝撃を受け、雲も謎の生き物も消失した空は何もなく、ただ茜空が広がっている。 「これからの行動方針、つまりやるべきことは大きく分けて3つ。Jアークとの合流。 可能ならばナデシコの回収もしくは奪還。そして、最後はガイ……いやアキトからの話を聞くことだ」 周りの人間が話していたことを、ロジャーが的確にまとめる。 前の二つは当然ながら、最後の一つも重要なのだ。ここにいる、大きな勢力3つ。すなわち、 Jアーク、ナデシコ、そしてユーゼスチームだ。彼らもまた、チーム単独でレジセイアへの反抗を決定しているに違いない。 カミーユの言動からも、首輪や手駒を集めなどレジセイアへの反逆に必要なことを多々おこなっている。 今は、少しでも全員の知恵を結集させねばいけないのだ。そのためには……ユーゼスとの情報交換も必須。 その言葉に、苦い顔をする者も多かったが、こればかりはどうしようない。タイムリミットは迫っているのだ。 「だが、今再び分かれるのはまずい。戦力も足らない。ここは合流して一つ一つ―――」 そこまで言った時だった。 天を覆う大群が、こちらに迫ってくることにロジャーは目をむいた。 【15時31分】 F-1――そこに残留した高濃度のゲッター線は、インベーダーたちを引き寄せるに足るものだった。 ゲッター線を好み進化を願うインベーダーたちの群れは、一度はガロードたちに全て吹き飛ばされ空白地帯となったF-1になだれ込む。 【15時47分】 「皆さん、引いてください!」 キラの言葉に合わせて、一同がその場から飛びすさる。 前線で食い止めていたインベーダーが密集した場所へ、ストレーガのエレクトリックキューブが投げ込まれた。 撒き散らす電撃がインベーダーを焼くが、すぐさまその屍を乗り越えてインベーダーは彼らに殺到する。 「くっ! 言葉の通じる相手ならやぶさかではないが……!」 騎士凰牙の回転する右腕が、インベーダーを砕き、飛び散らせる。 しかし、立て続けに横からもインベーダーたちは騎士凰牙へ肉薄する。涎を垂らし、かみつかんと口腔を広げるインベーダー。 「どうする!? 数が多すぎてこのままじゃ……!」 騎士凰牙のすぐ側にいたネリー・ブレンが、超短距離ジャンプで騎士凰牙をインベーダーから引きはがす。 即座にそのままサイバスターがディスカッターを振りかざし、インベーダーのそれ以上の接近を許さない。 「理性もなく破壊衝動にとらわれ蠢く様……美しくない、な」 しかし、サイバスター一機では限界がある。怒涛のように押し寄せる怪物の前に、サイバスター一機では無力過ぎた。 飲み込まれる直前にサイバードへチェンジ、空へと舞い上がる。 あまりにも、数が足りない。何しろ、事実上戦えるのは四機だけだ。 ガナドゥールはとても戦闘に参加できる状態ではなく、怪我人を抱えている以上、後方で待たせるしかない。 ラーゼフォンは、バサラが気絶した今、戦闘行動は不可能だ。 なぜか、障壁のようなものが発生し、ラーゼフォンとバサラを守っているが、ラーゼフォンが自律起動している理由は分からない。 ともかく、八方ふさがりと言っても過言ではない状況だ。 この孤島から脱出するためには、大なり小なり飛んで湖を超えなければいけないが、それが難しい。 インベーダーの中、戦闘不能直前の機体を二機護衛しながら超えるというのは、現実不可能と言えた。 しかし、決して誰も見捨てないのは彼らの人徳によるものが大きいだろう。 「ちょっと、どうするのよ、これ!?」 ソシエの声。さしもの吉良やロジャーも、回答のしようがない。 今では、持ちこたえているが、いつ押し切られるやも分からない。このまま行けばじりじりと押し切られてしまうだろう。 「この様子では、まさか会場全体にこれが出現しているのか?」 「そんな……そうだとしたらJアークが危ない!」 しかし、危ないとは分かっていてもまずここから脱出することができないのだ。 Jアークの救援どころか自分たちの身の護衛すら難しい。 「だれか、このエリアの補給ポイントを知っているか?」 ブンドルの言葉に、即座にキラは反論を返す。 「補給する前にみんなの気力が尽きます、それに機体のダメージだって……!」 キラの言うことは、ある意味正しい。 ここまでの疲れに加え、先ほど大規模な戦いで疲弊している。 ここで補給をしたところで、ほとんど戦闘継続という意味においては意味がない。 だが、ブンドルの言葉の真意はそこにない。 「違う。ネリー・ブレンのバイタルジャンプを使う。そうすれば……っ!?」 不意を突く角度で接近するインベーダーをどうにかサイバスターは反応して両断する。 キラも、今の言葉を受けてやっとブンドルの言葉の真意を理解した。 「そっか……! バイタルジャンプで隣のエリアへジャンプを繰り返せばいけるんだ……!」 アイビスは知っている。長距離ジャンプは、4割近いエネルギーを使用する。 だが……『4割』という数値は、10割ならば2回できるということだ。一回使っても5割は切らない。 一機を抱えて飛ぶことで生まれる消耗を加味しても、往復はできる。 つまり、飛ぶ以外の方法で脱出も可能というわけだ。 「わたし……が……知っている……!」 疲労困憊の中、それでもシャギアは声を絞り出す。 ソシエの肩を借り、どうにかウィンドウを指で押さえた。 「ここに、あるのね!?」 「ああ……そう、だ……!」 ソシエが、その情報を全員に伝達する。 地図に、希望の星が灯った。 【15時58分】 「なんだ……!? 先ほどですべてではなかったのか!?」 ユーゼスの周りを取り囲むは、数多のインベーダーの群れ、群れ、群れ。 たった一人で、他者を信じないユーゼスに、味方はいない。 どうにか、手足に纏いつくインベーダーをレオサークルで切り裂き、ブルホーンで突き刺し、ドラゴンフレアでなぎ払うが、数が多すぎる。 完全に焼け石に水だ。四人がかりでも、追いつけなかった破壊速度を、たった一機のユーゼスがこなせる理由などなかった。 たちまち、全身をインベーダーが覆い尽くす。締め付けるインベーダーが、メディウスのひび割れた装甲から入り込み始めた。 「システムエラーだと!? まさか……ラズムナニウムを侵食しようというのか!?」 インベーダーは機会と融合し、その機能を操作するなど乗っ取りができる。 これほどの力を持つ素体を、インベーダーが見逃すはずがなかった。二重三重にインベーダーが重なりあう。 ユーゼスも必死にプログラムを送り、逆にラズムナニウムによる乗っ取りを行おうとするが、あまりにもインベーダーの量が多すぎる。 侵食速度が、AI1の処理速度を上回っているのだ。このまま行けば……中央のコクピットにすらインベーダーは侵入してくる。 そうなれば、自分は終わりだ。しかし、無情にも浸食は止まらない。 機体の放棄も、ハッチの上にもインベーダーが重なっているため不可能だった。 「こんなところで……! こんな不確定要素で私が……!」 会話できるネゴシエーターたちならまだマシだった。 しかし、目の前にいるのは利害を説くことも、そもそも会話すら不可能な化け物。 ただ無慈悲にメディウスを攻め立てる。 「こんな……結末など……」 ついに、コクピットが一部陥没を始める。金属隔壁の一枚向こうには、もうインベーダーがいるのだろう。 「絶対に……認めん!」 16時ちょうど。その時間が――――――訪れる。 【16時17分】 「ちょっとあれ!?」 「まさか――アキトか?」 必死の行軍の末、どうにか補給ポイントに到達したキラ達。 その補給ポイントの前に倒れていたのは、ブラックゲッター、つまりアキトだった。 マスターガンダムの装甲を引きはがし、中を改めてからの2分ばかりの間。 消費したエネルギーの回復、そして何よりガウルンとの遭遇のためアキトは補給ポイントへ足を進めていたのだ。 焦る意識の中、ガウルンが放置機体を回収したとすれば、この戦いの消耗をまず回復するだろうという読みで、 バッドトリップまでの僅かな時間をアキトは駆け抜けていたのだ。 この読みは、半分当たり半分はずれだ。 ガウルンは確かに放置された機体を回収はしたが、そのままワームホールへ飛びこんでしまった。 もしガウルンがいるなら立て続けに錠剤を飲むつもりだったが、その姿はない。 そして悪夢の時は訪れ、アキトはただ暴れ回る。 これがモビルスーツなどなら、アキトは今の今までインベーダーにただ蹂躙されることとなっていただろう。 だが、よりにもよって彼の乗っているマシンはゲッター1を改良したブラックゲッター。 その操縦方法は、体の各部に装着されたコードとマシンアームを通し、モビルファイターと同じく自分の動きを再現すること。 機体との接続を切らず、ユーゼス謹製の薬による重度のバッドトリップの中のたうち暴れ狂う。 そのことが結果として、戦闘はせずともインベーダーから身を守る結果となったのだ。 獣のように四肢を振り回し、バッドトリップの中目に映るもの全てに狂気を写す。 「が、ああああ、あああああああああああ!?!!?」 インベーダーが、ブラックゲッターが手足を振るうたびになぎ払われていく。 アキトの体に染みついた動きが無意識下でもある程度行われ、インベーダーを確実に破壊していた。 ――補給ポイントのすぐ側で。 「止まれ、アキト! どうした、何があった!?」 ロジャーの呼びかけにも応じようとしない。通信を開けば、頭や体を掻きむしり、目に映る全てを薙ぐため手足を回す。 ロジャーもキラも、誰一人としてアキトがバッドトリップで苦しんでいることは分からない。 分かるのは何かがあってアキトが錯乱に近い状態であることだけだ。 このまま暴れ続け、もしもアキトが補給ポイントを傷つけることになれば、希望は断たれてしまう。 「どうにかして押さえましょう!」 「けど、どうするんだ! こっちじゃ押さえられるのなんかいないぜ!?」 ブラックゲッターの身長は、60m級の大型機。 対して、今の一同の戦える機体は大きくて30m級と、とてもブラックゲッターを抑えられるようなパワーや体格を持っていない。 唯一持っているラーゼフォンも、今は乗り手が気絶し、引きずってここまでもってくるのにも苦労したくらいで意味がない。 「下手に攻撃しては、補給ポイントを傷つける恐れがある、というわけか……!」 珍しく僅かに焦りの混じったブンドルの声。それに追い打ちをかけるように状況は切迫していく。 「うしろからも来てるわよ!」 「駄目、抑えきれない!」 背後から迫るは、群れなすインベーダー。 倒しても倒してもきりがないほどの数が、空と後ろから蠢き声を上げる。 アキトを補給ポイントの無事を確保しながら倒すのは、全員がかりでも至難の業。 しかも、全員で取りかかればその隙にインベーダーはキラ達を飲み込むだろう。 そして、インベーダーを相手にすれば、アキトは放置するしかなく、脱出はできない。 アキトが補給ポイントを破壊してしまえば万事休すだ。 手が足りない。どうしようもない。 絶望がじわじわと全員の心を蝕む。けしてあきらめない、ここで死んでたまるかと思っても、現実は非常過ぎた。 こんな絶望を吹き飛ばし、一蹴に伏すような、ご都合主義の神様はここにはいなかった。 全てが最悪に組み合い、終わりの時はもうすぐそこにある。 それでもやってみせるとロジャーがアキトへ、ブンドルとキラがインベーダーに向かいあった。 その時だった。 天から声が響く。 「それは私にとって重要なサンプルなのでな。――手荒な真似はやめてもらおう」 空を覆うインベーダーが、突如発生した巨大な黒級を中心とする重力異常体に引きずり込まれた。 次の瞬間、極彩色の世界がキラたちの前で発生。インベーダーごとビルを飲み込み、その内部にあるものを分解する。 さらに、流れ玉のように虚無色の柱――グラビティ・ブラスト――が正確にブラックゲッターを叩く。 アキトが気を失ったが故か、ブラックゲッターは動かなくなった。 ものの一瞬で、悪夢を粉砕した存在は。 彼らに話しかけるその声は。 そう、その声は。 「ユーゼス・ゴッツォ………!? その機体は!?」 空から舞い降りる、超・超大型機。優に100mを超えようかという巨体が空に浮かんでいる。 胸の中心に輝くは、2つの蒼星――相転移エンジンと、4つの赤星――核パルスエンジン。フォルムは、獣のようでもあり同時に人間にも近い。 「そうだな……これは名付けるなら超神ゼスト・第3段階とでも名付けようか」 ここに至るまでにさらに蓄積されたAI1の情報、この乱戦で集まった数多くの機体のデータと戦闘経験、 そしてナデシコやその周囲に放置された機体の動力炉を積み込むことで誕生した新しいゼスト。 その構成物質は、元・インベーダーの肉体とナデシコの装甲、僅かに第二段階ゼストに残っていたラーゼフォンの欠片、そしてゼスト自身。 16時00分――何が起こったかを語ろう。 その瞬間、遠く離れたアムロ・レイの放った光は、今まさに寄生中であったインベーダーを焼いた。 そして、その意志を殺しつくしたわけだが、肉体まではゲッター線の影響もあって強固だったため破壊しつくすことはできなかった。 融合し、相手の構成物となるインベーダー特有の機構と、ラズムナニウムの変化、吸収の理論が、 浴びたゲッター線と体内に内蔵されたゲッター線の両面から合わさり、猛烈な勢いで自己形成を始めた。 意思を失い、完全にラズムナニウムに高速で食い荒らされる苗床と化したインベーダーの肉体は、メディウスの糧となる。 新しい大量の肉体を構成できる物質を得た。そして、それを最大速度で完成するために必要なエネルギー源もまた、ナデシコなどから奪い取ったものがある。 ここに来るまでに、ヴァイクラン、マスターガンダム、プロトガーラント、マジンガーZ、旧ザクの動力炉をさらに取り込み、 ナデシコから奪った6つを合わせれば、最初からメディウスに積まれていたものも含めて12の動力炉を内蔵するに至ったのだ。 相転移砲やベリア・レディファーを使用することすら可能となったその姿は、まさに神に匹敵する。 「やいやいてめぇ! 突然出てきて何言ってんだ!」 甲児がユーゼスに向けて叫ぶ。しかし、あまりにも力の差がありすぎる両者の立ち位置を考えれば、それはひどく空しいものだった。 事実、ユーゼスはいつでも踏みつぶせる虫けらをみるような眼で甲児を見下ろすばかりだ。 「……せっかくこれらを消滅させてやろうと申し出るつもりだったのだがな。必要はないか?」 「何?」 「この害虫どもを全て駆除してやろうと言っている。その代わり、それが必要なのでな」 くいと指をユーゼスはブラックゲッターへ向ける。 「どうやら、これはゲッターの放つ宇宙線を好む性質があるようなのでな。そのブラックゲッターの心臓をここで暴発させる。 そうすれば、ただでさえ深刻な……そう、『ゲッター線』とでも名付けようか。ゲッター線が、さらにまき散らされる。 上空でできれば、おそらくそれにひかれて会場中の害虫が集まってくるだろう。そこを私が掃除する」 「本気か……? この会場全ての化け物を一人で片づける、とでも?」 ブンドルの推し量るような言葉を、ユーゼスは一蹴する。 「このゼストの慣らすにはちょうどいいだろう?」 押し黙る全員に、ユーゼスは言う。 「どうした、不満があるなら今ここで全機を破壊し、その動力炉を奪った上でブラックゲッターを回収してもかまわないが?」 圧倒的、高みからの発言。しかし、今のユーゼスはそれを虚勢ではなく実際に実行するだけの力があるのだ。 そう、ここにいる全員をまさに言葉通り『瞬』殺するだけの力が。 「最後に聞かせてほしい。なぜユーゼス、君は私たちを殺すだけの力がありながら見逃す? その意図は何だ?」 「簡単なことだ、ロジャー・スミス。私には私の、お前たちにはお前たちの役目がある」 「役目……?」 「そう、役目だ。私はレジセイアを破壊するため、やらなければいけないことがある。それでお前たちと分担しようと提案したい」 その言葉に、ロジャーは顔をしかめる。 「ユーゼス。相手と交渉をしたいと思うのなら、まずは武力をちらつかせるのはやめるべきだ。フェアではないな」 「フフフ……その通りだなMrネゴシエーター。いいだろう」 ゼストが、轟音を響かせながら地面へ降りる。そびえたつその巨体は、ただ立っているだけで凰牙を圧倒する威圧感を持っていた。 「私は、先ほどの空間の亀裂、そして相転移エンジンによる空間の在り方を観測した。そして、気付いたのだ」 「それは……この空間が崩壊しつつあることですか?」 空間、と来ただけで気付いた聡明なキラの台詞に、ユーゼスは満足げな目を向ける。 「その通りだ。いざとなれば力技で突破も不可能でもないかもしれないが、どこをどう破壊すれば効率がいいのか、 どこを破壊すればレジセイアの元に向かえるのか……それを知るために空間の観測をお前たちにはやってほしい。 もっとも、今返答をよこす必要はない。そうだな……私に協力してくれるのならば、E-3に24時に来てほしい」 「それに対する見返り、は……?」 「首輪の解除方法。これで不満はあるか?」 「現状、それに対する具体的な方法と、その確保は?」 「現在はないが、24時までに用意するだけの駒はそろっている。そして、現状私が一番首輪の真実に近いと自負しているが」 「では、今の時点ではないということだな」 「それはお前たちが空間の観測を行えるかどうかも同じことが言える」 「しかし持ちかけた側には………」 ロジャーとユーゼスの問答が続く。 そこへ、キラが口をはさんだ。 「わかりました。僕たちはあなたの提案を飲みます」 「キラ!?」 「ちょっと何を言ってるのよ!?」 不満の声が上がるのを手で制して、キラは言う。 「今は、争ってる場合じゃないんだ。確かに割り切れない部分もあります。けど、そうやって争っても…… 僕たちは、まだ完璧とは言えませんが、空間に関してはすでに観測を始めています。 それで分かったのは……思った以上に時間がないことです。もう、争っている時間はないんです。 本当に……協力してくれるんですね?」 「無論だとも。私も同じことを重々承知している。そう、無駄な血を流す猶予はないということだ」 キラの言葉にユーゼスは頷くと、ブラックゲッターの首を掴むと、そのまま上空へ昇って行く。 「では、24時、E-3で会おう。お前たちが、この島を離れられるように害虫を掃除せねばな」 それだけ言い残し――ゼストの姿は見えなくなった。 【シャギア・フロスト 搭乗機体:なし (ガナドゥールに同乗中) パイロット状態:疲労 戸惑い 機体状態:なし 現在位置:D-2 第一行動方針:??? (とりあえずキラたちについて行くつもりのようだが、内心何を考えているか不明) 第二行動方針:ガウルン、テニアの殺害 第三行動方針:首輪の解析を試みる 第四行動方針:比瑪と甲児・ガロードを利用し、使える人材を集める 第五行動方針:意に沿わぬ人間は排除 最終行動方針:??? 備考1:首輪を所持】 【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:精神は持ち成した模様、手の甲に引掻き傷(たいしたことはない) 機体状況:ソードエクステンション装備。ブレンバー損壊。 EN25% 無数の微細な傷、装甲を損耗 現在位置:D-2 第一行動方針:Jアークへ向かう 第二行動方針:協力者を集める 第二行動方針:基地の確保 最終行動方針:精一杯生き抜く 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】 【兜甲児 搭乗機体:ストレーガ (スーパーロボット大戦D) パイロット状態:疲労 機体状態:機体状態:右肩に刺し傷、各部にダメージ(戦闘に支障無し) EN40% 現在位置:D-2 第一行動方針:誤解は氷解したため、Jアークに協力する 第二行動方針:ゲームを止めるために仲間を集める 最終行動方針:アインストたちを倒す 】 【キラ・ヤマト 搭乗機体:なし パイロット状態:健康、疲労(大) 全身に打撲 現在位置:D-2 第一行動方針:殺し合いを止める。 第二行動方針:出来るだけ多くの人を次の放送までにE-3に集める 第三行動方針:首輪の解析( マシンセルの確保) 第四行動方針:生存者たちを集め、基地へ攻め入る 最終行動方針:ノイ=レジセイアの撃破、そして脱出】 【ロジャー・スミス 搭乗機体:騎士凰牙(GEAR戦士電童) パイロット状態:肋骨数か所骨折、全身に打撲多数 機体状態:左腕喪失、右の角喪失、右足にダメージ(タービン回転不可能) 側面モニターにヒビ、EN60% 現在位置:D-2 第一行動方針:殺し合いを止める 第二行動方針:出来るだけ多くの人を次の放送までにE-3に集める 第三行動方針:首輪解除に対して動き始める 第四行動方針:ノイ・レジセイアの情報を集める 最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイトに値しない相手は拳で解決、でも出来る限りは平和的に交渉) 備考1:ワイヤーフック内臓の腕時計型通信機所持 備考2:ギアコマンダー(黒)と(青)を所持 備考3:凰牙は通常の補給ポイントではEN回復不可能。EN回復はヴァルハラのハイパーデンドーデンチでのみ可能 備考4:ハイパーデンドー電池4本(補給2回分)携帯 備考5:バイパーウィップと契約しました】 【ソシエ・ハイム 搭乗機体:ガナドゥール パイロット状況:右足を骨折 機体状態:頭部全壊、全体に多大な損傷 駆動系に障害 機体出力の低下 EN40% 現在位置:D-2 第一行動方針:殺し合いを止める 第二行動方針:出来るだけ多くの人を次の放送までにE-3に集める 第四行動方針:この機械人形を修理したい 最終行動方針:主催者を倒す 備考1:右足は応急手当済み 備考2:ギアコマンダー(白)を所持 備考3:ハイパーデンドー電池4本(補給2回分)、騎士凰牙の左腕を携帯 備考4:ガトリングボアと契約しました 】 【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL) パイロット状態:良好(主催者に対する怒りは沈静、精神面の疲労も持ち直している) 機体状態:サイバスター状態、各部に損傷、左拳損壊 ビームナイフ所持 現在位置:D-2 第一行動方針:殺し合いを止める 第二行動方針:マシンセルの確保 第四行動方針:サイバスターが認め、かつ主催者に抗う者にサイバスターを譲り渡す 第五行動方針:閉鎖空間の綻びを破壊 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ 備考1:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能 備考2:空間の綻びを認識 備考3:ガウルン、ユーゼスを危険人物として認識 備考4:操者候補の一人としてカミーユ、甲児、キラに興味 備考5:ユーゼスが解析した首輪のデータを所持(ただし改竄され不完全なため、単体では役に立たない)】 【熱気バサラ 搭乗機体:ラーゼフォン(ラーゼフォン) パイロット状況 DG細胞感染。喉の神経圧迫は完治。気絶 機体状態:右腰から首の付け根にかけて欠落 胴体ほぼ全面の装甲損傷 EN残量20% 現在位置:D-2 第一行動方針:??? 最終行動方針:自分の歌で殺し合いをやめさせる 備考1:真理の目が開いています】 【16時50分】 「さて……うまくこちらの誘いに乗ってくれたようでなによりだ」 ユーゼスはF-1上空で、そう嘯いた。 遠くを映せば、島の向こう側をキラたちは進んでいる。 「どのように解釈し、納得したかは知らないが……これでもう問題はない」 そう言って視線を向けるは、相変わらず気絶の最中でも副作用に苦しんでいうのか呻き続けるアキト――いや、ブラックゲッター。 ユーゼスが求めたのは、ゲッターだったのだ。 あれだけの事態を収束させたゲッターの存在。そしてゲッターから放たれる宇宙線が与えるあの生物への影響。 そして、死んだはずの人間をエネルギーとして保存し、再生する能力。 今振り返れば、首輪と何かがメディウス内部で衝突し、コントロールが失われかけた時、それを押さえたあの光。 「こんなところに、鍵が眠っていたとは……存外気付かないものだな」 今から真に調べるべきなのは、このゲッター線が首輪など外部の物体に、いかな影響を与えるかだ。 これを調べることこそ、首輪の解除、引いては新たな超神をさらなる高みに登らせるために必要なことだ。 ゲッター炉を暴発させる? そんなことはもったいなさすぎてできるはずがない。 「もっとも、これらが私の計算に収まらない存在だった時……すべて終わった後その手は打たせてもらおう」 インベーダーという会話すら不可能な存在に、死の目前まで追い込まれたことはユーゼスも忘れていない。 いつか、計算外の存在が自分の敷いたレールを外す可能性がある。そのため、せん滅する必要もわずかではあるがユーゼスは感じていた。 だが、今は。 今――自分は。 「何も恐れるに足りん……! ここまでくればラプラス・コンピューターの確保も奴らを使いつぶしてからで十二分。 素晴らしい成長だ、AI1……様々な物質、要因が重なることで、ここまで成長するとは……! お前は素晴らしい存在だ! 必ず、唯一無二の存在……『超紳』まで押し上げてやろう……!」 ユーゼスの笑い声が、インベーダーの消えた夕焼けの中で木霊していた。 【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:メディウス・ロクス(バンプレストオリジナル) パイロット状態:疲労(中) ハイ 機体状態:EN残量100% ヴァイサーガの五大剣を所持 データウェポンを4体吸収したため四肢が再生しました。 第三段階へ移行しました。 デザインの細部、能力(相転移砲などが使用可)が一部違いますが、基本MXのそれと変わりありません。 現在位置:F-1 上空 第一行動方針:ひとまず放送前にA-1に向かい統夜、テニアと合流 第二行動方針:AI1のデータ解析を基に首輪を解除 第三行動方針:サイバスターのラプラス・コンピューターの回収 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 第五行動方針:キョウスケにわずかな期待。来てほしい? 第六行動方針:24時にE-3へ 最終行動方針:主催者の超技術を奪い、神への階段を上る 備考1:アインストに関する情報を手に入れました 備考2:首輪の残骸を所持(六割程度) 備考3:DG細胞のサンプルを所持 】 ナデシコやマスターガンダム、ヴァイクランといった放置機体は解体(心臓部を除き粉砕)されました。 生存しているインベーダーは、ゲッター線にひかれてF-1に集まる傾向があるようです。 【テンカワ・アキト 搭乗機体:ブラックゲッター パイロット状態:マーダー化、五感が不明瞭(回復傾向)、疲労状態 怒り バッドトリップ中 気絶 機体状態:全身の装甲に損傷、ゲッター線炉心破損(補給不可) 現在位置:F-1 上空 第一行動方針:ガウルンの首を取る 第二行動方針::キョウスケが現れるのなら何度でも殺す 最終行動方針:ユリカを生き返らせる 備考1:首輪の爆破条件に"ボソンジャンプの使用"が追加。 備考2:謎の薬を2錠所持 (内1錠はユーゼス処方) 備考3:炉心を修復しなければゲッタービームは使用不可 備考4:ゲッタートマホークを所持 】 BACK NEXT 排撃者――表排撃者――裏 投下順 闇の彼方に伸ばす指先 排撃者――表排撃者――裏 時系列順 闇の彼方に伸ばす指先 BACK 登場キャラ NEXT 怒れる瞳 シャギア 闇の彼方に伸ばす指先 怒れる瞳 アイビス 闇の彼方に伸ばす指先 怒れる瞳 甲児 闇の彼方に伸ばす指先 怒れる瞳 キラ 闇の彼方に伸ばす指先 怒れる瞳 ロジャー 闇の彼方に伸ばす指先 怒れる瞳 ソシエ 闇の彼方に伸ばす指先 怒れる瞳 ブンドル 闇の彼方に伸ばす指先 怒れる瞳 バサラ 闇の彼方に伸ばす指先 怒れる瞳 ユーゼス もう一つの対主催 怒れる瞳 アキト もう一つの対主催
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/89.html
アンチボディー ―半機半生の機体― ◆Nr7qwL8XuU 水面を二つの赤いしみがゆっくりと移動していく。その像は徐々に大きくしっかりとした輪郭を伴ってゆき、間もなくその像の主は水中から姿をあらわした。 姿をあらわしたのはブレンパワードとグランチャーと呼ばれる二機のアンチボディー。半機半生の機体である。 その二機のうち赤い機体は陸にあがると周囲を一度グルッと見わたした。 視界いっぱいに映ったのは砂の海。目測で前方30~40kmはこの光景が続いている。 砂浜というには広すぎる。砂漠とか砂丘とかいう類のものだろう。 視界をさえぎるものがないためか見通しはよく、立ち並ぶビル群を遠目に確認することができた。自分達以外に機影もない。 時刻を確認する。時計の針は午後4時を指していた。 水中の移動は思ったよりも時間をくったなと思ったジョシュアは 「アイビス、ここから先は身を隠す場所がない。なるべくはやくに市街地まで突っ切る」 と声をかける。了解と返してきたアイビスの声を確認するとジョシュアは先にたって進み始めた。 ジョシュアとアイビスが市街地に入ったのは市街地を確認した20分後のことであった。 周辺に敵機がいないことを確認した二人は市街地の入り口付近、A-1・A-2・B-1・B-2という四つの地区の境目、A-1側の一角に陣取った。 姿を隠しつつ南から市街地を目指してくる機体を発見しやすいというのと禁止エリアに指定された場合他のエリアに動きやすいというがその場所を選んだ主な理由である。 『傭兵か・・・さすがに手慣れているな』とへんに感心しつつ、先に降りて休憩しているはずのジョシュアに習い休むことにアイビスは決めた。 機体を降りるとジョシュアが「お疲れ」と声をかけてきた。続けてブレンにも「お疲れ」と声をかけ二三度軽く撫でていく。 「お疲れ。・・・何してるの?」 「こうしてやるとブレンもグランも喜ぶんだ。アイビスにも喜んでるブレンの声が聞こえるだろ?」 「う、うん」 『ブレンの声?何を言っているんだ』と思うも返事を返す。 ブレンを見上げてみた。そこにはいつもと変わらない小型の巨人がただずんでいるだけであって声はおろかそこに感情が潜んでいるなどとはアイビスには到底思えなかった。 「先に休んでる」 とジョシュアに一声かけるとアイビスはその場を後にした。 「わが名はギム・ギンガナム。そこのパイロット、名乗りを上げい!」 我に返ったギンガナムの武骨な声があたりに響き渡った。分離し一部を置き去りに飛び去った相手にもはや興味はなく、新たな相手を前にギンガナムは胸を弾ませた。 その名乗りで我にかえった統夜はゲッターの変形機構から思考を目の前の相手に向ける。 先ほどの戦闘から分かるのは小型機らしい俊敏な機動性と(自機とは比にならない重さを有しているであろう)50m級の機体をも投げ飛ばし殴り飛ばす怪力。 装甲の厚さは不明だが武器というものは当たらなければ須く意味がない。ヴァイサーガの装甲がそうそう破られるとも思えなかったが、攻撃を当てれるかというとどうだろう・・・。 そう簡単に攻撃を受けてくれる相手とも思えない。 とにもかくにも極力戦いたくない相手には違いなかった。 そこまで思考をまとめた統夜は策を決め腹をすえた。そして羞恥心を押し殺し柄にもなく大声を張り上げ名乗りをあげる。 「紫雲統夜!参る!!」 名乗りと同時に刀を抜き打ち、地面を滑るような衝撃波を繰り出す。 そしてそれはギンガナムの手前100mというところで周囲のビルを薙ぎ払い、大量の瓦礫を舞い上げる。ギンガナムの周囲に粉塵が立ち込めた。 「見事な先手!小生の視覚を潰しおったか・・・!!」 周囲を見渡せない状況がかえってギンガナムのテンションをあげる。 レーダーの利かないこの世界において視覚を潰されるということは索敵能力を潰されるに等しい。しかし、逆に取るとこの状況下では相手もこちらの正確な位置は捕らえられない。 ゆえに遠距離攻撃は考えられず、この粉塵にまぎれて近距離戦を仕掛けてくるはずであるとギンガナムは読む。 その予想される相手の攻撃にカウンターを合わせるべくギンガナムは相手の一撃を待った。 やがて視界が晴れたころ、ギンガナムは遥か彼方に遠ざかっていく巨体を見つける。 このとき統夜の取っていた策は実は逃げの一手であった。 眉間にしわがより、鬼の形相を呈したギンガナムは 「小生を謀りおったな・・・だが!!逃がしはせぬぞおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」 その声にドップラー効果がかかるほどの勢いで統夜を追いかけ始めた。 ほぼ同時刻、戦場から離脱し北に向かって遠ざかりつつある二機のコマンドマシンがあった。 「ガロード、引き返すぞ」 後方に遠ざかっていく戦場の様子を注意深く観察していたクインシィはガロードに通信を入れる。 「へっ?さっきは離脱するって・・・な、なんでまた・・・」 「戦場が動いた。この隙にベアー号かお前の機体を回収したい。コマンドマシンでは心もとないだろ?」 言うが早いか大きく弧を描いて真イーグル号を反転させたクインシィに大慌てでガロードも続く。 なるほどさき程離脱した戦場から離れていくヴァイサーガの巨体がどうにか見て取れる。 小型機のほうはここからではさすがに見えないがお姉さんのほうからは見えているのだろうか?そんな疑問が浮かび口を開く。 「お、お姉さん!」 「どうした?」 「さっきの小さいほうの機体は?」 「なんだ。そのことか・・・」 予想よりも冷静な言葉が返ってきて取り越し苦労かと胸をなでおろした。 きっと、策か何かあるのだろうと思い続きを待つ、そこに 「姿は確認できないが、あれほど好戦的な奴だ。大きいほうを追いかけていったに決まっている」 と的を射ているような射てないような返事がガロードに返ってきた。 ガロードが先行きに感じる言いようのない不安などお構いなしに二機のコマンドマシンは僚機を回収すべく駆け続けていった。 「ふははははっ!待てええええぇぇぇぇぇいいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!」 通信から楽しそうな大音量の声が流れてきて思わず統夜は顔をしかめた。 えらい変態さんに目をつけられてしまったもんだと暗たんとした思いが胸をよぎり、絶っ対に逃げ切ってやるという思いを強くする。 しかし、不幸にもヴァイサーガの巨体はビルの密集するここの地形に適しておらず、逃走開始時にかなり広げたはずの距離はずいぶんと縮められていた。 そのことを確認すると焦りが生じてきた統夜は周囲を見渡す。 そして、目ざとくも左前方に他の参加者を発見する。口元に笑みがこぼれる。 一度後方との距離を確認して距離的にもちょうどいいと踏んだ統夜は全速で機体を走らせた。哀れな贄の元へと・・・。 休憩を終えたアイビスは再びブレンを見上げていた。 そうする気になったのはバルマー戦役時に活躍したある兵士が超機人とかいう生きた機体に乗っていたという話を休憩中に思い出したからではない。 その手の話は兵士が自分で箔をつけようと流したものかあるいは驚異的な働きをした兵士に神がかり的なものを感じた敵味方に流れるものとして別段珍しくはなかった。 だからそういった尾ひれのついた話に流されたわけではない。 ブレンの声が聞こえるというジョシュアの言に何かひっかかるものを感じたからこそこうして再び見上げてみる気になったのだった。 しかし、依然としてその表情からは何も読み取れなかった。ジョシュアがしてたように撫でてもみたが結果は同じだった。 しばらくの思案の後、への字にしていた口元を緩ませると 『バカバカしい・・・気にするのは止めよう。どうせ私には・・・関係ない・・・』 とアイビスは結論付けた。そこには自嘲の色が見え隠れする。 そのとき、アイビスは地響きのようなものを耳にする。体に緊張が走り周囲を見渡す。 砂漠に敵影は見えない。ビルの隙間からも見えない。 気のせいかと思ったが今度は先ほどよりも大きな地響きを耳にする。同時に大地が震える。 瞬間、転がり込むようにブレンに乗り込む。少し遅れてジョシュアもグランチャーに乗り込むのが見えた。 ―――間違いない。巨大な何かが接近してくる。 その予感はまもなく確信にかわった。ビルの谷間から50mはあろうかという巨体が姿を現しこちらに迫ってくるのを見つけたからだ。 「アイビス!」 同時に確認したらしいジョジュアから通信が入る。 「な、何っ」 「万が一戦闘になったら離脱しろ」 反論を口に出そうとした瞬間、ジョシュアが言葉を続ける。 「ブレンには武装がない!危険すぎる」 「い、言われなくてもわかってる・・・・・・ジョシュアはどうするのさ?」 「大丈夫だ。危ない橋を渡るつもりはない・・・適当に時間を稼いだら離脱する・・・」 そして程よく接近中の機体から通信が入る。 「応答を。こちら紫雲統夜。そこの二機答えてください」 その機体の大きさに若干距離感を崩されながらも、通信に答えようとするアイビスを制してジョシュアは通信に答えた。 「通信聞こえている。こちらに交戦の意思はない。こちらから一定の距離で静止してくれないか」 「無理です!ゲームにのった凶悪な奴に追われています。助けてください・・・」 何か違和感を覚えたジョシュアは追われていることだけでは追っ手がゲームに乗っているものとは判断できないと、そう反論を口にしようとして突如入った通信に遮られた。 「わが名はギム・ギンガナム。そこの二機のパイロット、名乗りを上げい!」 その唐突な小型機の名乗りにジョシュアとアイビスは面くらった 「名乗りをあげろ・・・?」 「何・・・・・・あいつ・・・」 奇妙な雰囲気が場を占め、巨大な機体の接近以来張り詰めていた空気が弛緩する。 その隙に紫雲統夜と名乗った男はこちらに機体を近づけてくる。 ぞくり―― その行動に背筋の凍りつくような感覚を感じたジョシュアは我知らず一歩退く。その鼻先を音もなく巨大な切先が通過していった。 同時に目の前に傷一つない綺麗なボディーが横切っていった。襲われたにもかかわらず損傷のまったくない機体・・・先ほどの違和感の正体はこれかと気づく。 結果としてすれ違いざまの抜き打ちをかわしたことになったジョシュアはヴァイサーガを追って機体を反転させ振り返る。 そこで目に飛び込んできたのは、自機よりも数倍の大きさを誇る機体に叩き潰されビルに沈み込むブレンと、そのまま止まらずに離脱していくヴァイサーガの後姿であった。 「アイビス!ブレン!!」 とっさに駆け寄ろうとしたその時 「むぅ・・・実に見事な名乗り!アイビス・ブレンよ・・・いざ参る!!」 「待てくれ!こちらに戦う気は」 「問答無用!!」 相手の言を完全に無視して、盛大な勘違いをしたギンガナムがジョシュアに襲い掛かった。 四機の機体が入り乱れる様を遥か上空から目撃した神隼人その場で機体を一回だけ旋回させ、今しがた起こった出来事をフライトレコードの映像に収めていた。 その四機のうち一機は既に離脱し、一機は沈黙、そして残る二機は戦闘を繰り広げている。 しかし、既にその上空に隼人はいなかった。YF-19のモニターに拡大表示されているのは三機のコマンドマシン。 同系機とおぼしき外観を持つ三機のうち二機が残る一機に接近していっている。 三機という機数、赤・白・黄色という配色の二つがゲッターを隼人に思い起こさせていた。 ただしその形状は隼人のよく見慣れたものよりもより洗練されたシャープな線を描いている。 ゆえに隼人はそれをゲッターと断定することはできなかったが、確かめずにいることも当然できない。万が一ということも十分にありうる・・・。 どちらにしろコクピットを覗けばその答えは出るはずだ。ゲッターならば合体変形機構が必ず盛り込まれているはずである。機体の動力を見極める手もある。 それを見落とさないだけの自信が隼人にはあった。 眼下で襲われている参加者と地に横たわるベアー号らしき機体を隼人は天秤にかける。 「・・・悪く思うなよ」 ゲッターの巨大な力を知る彼は眼下の光景を後回しに機体を加速させていった。 「お姉さん、あれ!」 先に気づいたのはガロードだった。右前方に一つの機影。その向かう先にあるのはベアー号、あきらかに目的は一致している。 「確認した・・・」 通信を返しクインシィは思案を練る。ここで相手に先を越されるわけにはいかない。もし戦闘になった場合、二機のコマンドマシンでは心もとなかった。 マジンガーの存在もあったがあれはだいぶ東。ここからだとベアー号よりも遠方であった。 やはりベアー号を押さえて合体するしかない。 もう一度相手を確認する。タイミング的にギリギリと踏んだクインシィは「急ぐぞ」とガロードに声をかけようしたところに先にガロードから通信が入る。 「お姉さん、話し合いしなよ。ちゃんと忘れてない?」 「うるさい!覚えてる!!」 実際は忘れていた。 「とにかく今は急ぐぞ!」 というや否や機体を加速させた。その後姿を見ながらガロードは逃げ出したい思いに駆られたその瞬間 「逃げるんじゃないぞ!一段落したらそれと言いたいことは山ほどあるんだ・・・」 釘を刺された。そのぞんざいな物言いの中に優しさもみた気がしたが先延ばしになってる折檻の光景が頭に思い浮かんだ。 「うへぇ・・・でも、お姉さん、本当に話し合」 「くどい!」 首をすくませたガロードはおとなしくクインシィに続いて行った。 周囲に轟音が鳴り響き、ビルの残骸と共にグランチャーは砂漠に投げ出された。 「くそっ!なんて力だ!!」 すばやく体勢を立て直しながらジョシュアは一人愚痴る。 気絶したアイビスを乗せるブレンから相手を放そうと応戦しながら誘導し、最後のビルを迂回して砂漠に出ようとしたとき、動きを読まれギンガナムの拳を浴びた。 とっさにガードしたものの背後のビルを巻き込んで砂漠まで殴り飛ばされたのがここまでの経過だった。 思惑通りブレンからは引き離した。ひとまずここまでは上出来とグランを励ます。 小競り合いによって破壊されたビルの影にシャイニングの両目が浮かび上がり、次の瞬間 「ぬるい!まったくもってぬるいぞ!!貴様ああぁぁぁぁぁ!!!!!」 気迫と同時にブレンに肉薄するとその右拳が振り下ろされた。 それをジョシュアはグランチャーに必要最低限のバックステップでかわさせると攻撃直後の隙を狙って間髪要れずに踏み込む。 ソードエクステンションの斬撃が唸りをあげてシャイニングに差し迫る。 「甘いわ!!!」 ギンガナムは返す右手で捌き、相手の体勢を崩すと左拳をまっすぐに突き出した。 次の瞬間、拳は空を切り、背後から衝撃がギンガナムを襲う。振り返ったギンガナムの視界は間近に迫った光線に埋め尽くされる。 それはシャイニングの胸部装甲を擦過して後方の砂漠に着弾。大量の砂を巻き上げた。 瞬時に反撃に出ようとしたギンガナムだが、牽制の弾幕を撒き一定の距離まで後退したグランチャーを確認してひとまずは追撃をあきらめる。 こちらの動きを読みきった熟練を思わせるパイロットの腕―― 一瞬にしてこちらの死角に回り込んでみせた黒歴史にも載ってない未知の移動法―― 確実に直撃させたはずの二撃目を皮一枚でかわした反応速度―― 小型機に似つかわしくないにも程がある攻撃力と機械とは思えないほど柔軟な追従性―― ―――なまじの敵ではない――― 距離を置いて対峙した二人のパイロットが互いに抱いた感想であった。 「ふ・・・ふははははは・・・・・・面白い。実に面白い」 前言を撤回したギンガナムは肉体が歓喜の声を上げ、武人の血が沸き立つのを感じた。 そして、それに答えるかのようにシャイニングガンダムはフェイスガードをオープンさせスーパーモードを発動させる。 その様子を眼前にジョシュアは簡単にはいかないことを覚悟せざる得なかった。 あともう少しでベアー号を回収できるというところでクインシィとガロードは神隼人と接触した。相手は眼前を悠々と旋回している。 「お姉さん、どうしたのさ?はやく通信しないと・・・あっ、しにくいのなら俺が・・・」 キッ!と通信機越しに睨みつけられてガロードは沈黙した。 が、いつまでもこうしててもしかたないと思い通信機に手を伸ばしたその瞬間 「こちらは神隼人。交戦の意思はない」 相手から先に通信が入ってきた。モニターのむこうでガロードが安心するのが見える。 「こちらはクインシィ・イッサーとガロード・ラン。こちらも交戦するつもりはない。できれば情報の交換を望む」 「了解した」 あっけないほどすんなりと交渉は成立し三機は情報交換を開始した。 そして、情報交換開始から十分弱のあいだに主催者や他の参加者・互いの世界観などについてなど知っていることについて情報が交換されていくが互いにたいした成果はなかった。 ネリー・ブレンについての情報も交換されたがやはり成果はなかった。 成果のない一因は隼人がゲッターについて黙っていたせいかもしれない。まだ二人を見極めてない隼人にとって、ゲッターの情報は一枚のカードとして伏せておく必要があった。 そしてそれはクインシィ側にとっても同じである。二人は万が一に備えマジンガーの情報を隠していた。 自分達の機体は最初から二機のコマンドマシン。そう思わせておいたほうが現状では二人にとって都合がいいのだ。 互いに札を伏せていようとも成果がなくとも貪欲に情報は交換されていく。 そして、話題はヴァイサーガとシャイニングガンダム・ギンガナムに及ぶ。その二機の特徴を聞いた隼人は先ほど上空から撮った映像データを二機に送信した。 「ついさっき撮ったものだが・・・この二機で間違いないか?」 「そうそう。この二機・・・」 ガロードが映像を確認して答えを返す。 その傍らでクインシィは無言で映像をみつめていた。 (これは私のグランチャーではないか・・・) その赤いボディーを見間違えるはずもなく、自分のグランチャーだと気づく。そして、そのグランチャーが桃色のブレンパワードを守るように行動している。 (何故だ!何故・・・・・・) 「隼人、場所はどこだ?」 「南西方向、A-1・A-2・B-1・B-2の四つのブロックの境目あたりだ」 クインシィの目が据わり、次の瞬間真イーグル号は急発進で飛び去っていった。 「ちょっと待ってよ、お姉さん!」 とガロードがそれに続く。 残された隼人はその様子を不審に思いつつもあとを追おうとして近場に横たわるベアー号らしき機体が気になり足を止めた。 このままYF-19で二機を追うにしろ、ベアー号らしきこいつに乗り換えて追うにしろ、ひとまずこいつをどうにかする必要があった。 なぜならば隼人の知るかぎり敵にまわせばゲッターほど厄介な機体はないのだから…。 豪腕がうなりをあげて迫ってくる。それをソードエクステンションの腹で受け止めたグランチャーの両腕は上方へはじかれ、体が宙に浮き上がった。 やばいと思った瞬間、閃光を発したシャイニングの右手が襲い掛かってくる。 それをバイタルジャンプでかわして後方に回り込むも俊敏に反応し振り向きざまに繰り出された裏拳に阻まれて牽制の射撃をおこないながらあえなく距離をとる。 が、次の瞬間ギンガナムの視界を埋めたのは距離を置いたはずのグランチャーの姿だった。ソードエクステンションが袈裟懸けに振るいおろされる。 それを一歩踏み込んでグランチャーの腕を掴んで止め、そして投げ飛ばした。 一拍置いて決定打をかわされたギンガナムはまたかと自らの拳を眺める。かわされたのはこれで何回目だろうか?まったくといっていいほど決定打が当たらない――― 唇の端がつりあがり、だからこそ面白いとギンガナムは結論付ける。だからこそ倒しがいがあるのだと・・・。 この短時間の間にバイタルジャンプに順応し始めているギンガナムを感じ、汗がジョシュアの頬を伝って落ちていった。 瞬間移動といっても過言でない移動法を誇るこの機体相手に、こうも攻撃を捌ききることができるものなのだろうか? ジョシュアが不慣れなのではない。瞬間移動を高速に置き換えると兵器としてのグランチャーの特性は高速近接戦闘を得意とするエール・シュヴァリアーのそれに最も近い。 ソードエクステンションとサイファーソードのコンセプトも通じるものがある。 いっそ逃げようかと考えて気絶したアイビスを思い出し、敵を退けるしかないかと思い直す。 「何故、ブレンを守る。ブレンはオルファンの敵だぞ!お前はオルファンの抗体に選ばれたものではないのか!?」 出し抜けに女の声がコクピットに響き渡った。ぎょっとして周囲を見渡すと通信可能距離ギリギリという遠方に二機の戦闘機(のようなもの)の姿が確認できる。 通信を返そうとしたその瞬間、いつの間にか接近していたシャイニングの拳が肩をかすめていった。まるで気を抜いてもらっては困るとでも言うように・・・。 そして再び二機の攻防は始まる。 心なしグランの動きが鈍ったように思えた。まるで混乱でもしているかのように・・・。 依然として通信を介し女の声はコクピットに響き渡っている。が、ジョシュアはそれに答えず。一瞬後には通信が入っているという事実すら忘れ去る。余裕がないのだ。 他のことに気を取られている暇などない。ほんのわずかな時間でも気を抜けばこの相手は自分を屠り殺してみせるだろう。 気の抜けない戦いにジョシュアの意識は呑まれていった。 「ふははははは・・・もっとだ!もっと小生を楽しませてくれぃ!!」 通信から流れてくる野太い声にアイビスは起こされた。最悪な目覚め方だとふやけた頭で考えると周囲の景色が飛び込んできて我に返った。 あの時、紫雲統夜の奇襲を不意をつかれつもどうにか受け止めたブレンはそのまま相手のパワーに押し切られビルに埋没した。 その際、あまりの振動にコクピット内部に体を激しくうちつけたアイビスは気を失っていたのだった。 「小生の積年の鬱屈、見事晴らしてみせよ!」 通信の声とほぼ同時に轟音が響き渡り、わずかに遅れて舞い上げられた砂がパラパラと降り注いでくる。 ・・・誰かが・・・・・・まだ戦ってる? 一体、誰が? 不意にジョシュアのことが思い浮かび周囲を見渡した。グランチャーの姿は見当たらない。 戦っているのはジョシュアらしいと思い至ったとき、助けに行かなきゃという思いよりも暗澹とした思いがアイビスの胸を満たす。 ジョシュアがこの付近から離れたのが私を巻き込まないためなら、今なお逃げずに戦っているのも私を守るために他ならない。 全ては自分のせいだ。自分が足をひっぱったためにジョシュアは・・・。 『負け犬が!』聞き覚えのある声が耳をうつ。 そう、私は負け犬だ・・・ならどうする?負け犬は負け犬らしく尻尾を巻いてまた逃げだすのか・・・。 ・・・・・・違う。私は負け犬なんかじゃない。 ほんのわずかばかりの気概が沸いたが心の中を埋めるには程遠かった。 力なく鈍く光る瞳でそれでもブレンを起こしたアイビスはせめて盾にでもなろうと、半ば自棄にも似た気持ちでブレンの足を戦場へと向けた。 光り輝く腕が安々とチャクラシールドを突破してくる。 ギム・ギンガナムが操るシャイニングガンダムの渾身の一撃がグランチャーを捕らえたと思ったその刹那、右手は虚しく空を掴む。 バイタルジャンプによって再び距離を置いて二機は対峙する。 傍目には一進一退の攻防を続けているようでいて、その実ジョシュアのほうが遥かに分が悪かった。 互いに互いを捉えられない以上、一撃の重さは重要なファクターだった。そしてそれが圧倒的に違っていた。しかも、グランの調子も落ちてきている。 ならば次の攻防に勝負を賭けるしかないとジョシュアは思い定めた。 (いけるか?グラン・・・) (・・・・・・・・・) (・・・・・・よし!) 決意を固めるや否やジョシュアとグランは突撃する。そして、ソードエクステンションから光線が放たれ、膨大な砂塵がギンガナムの周辺を満たした。 そして、そのまま砂塵に突込み真っ向からギンガナムを斬りつける。 「甘いわ!!」 防がれた。が、もとより相手の動きを止めるための斬撃。牽制の意味合いが強く、直撃を期待してはいない。 その瞬間、ギンガナムの反撃を待たずしてグランチャーの姿が掻き消え、四方八方から光線がギンガナムを襲った。 バイタルジャンプを駆使して全方位あらゆる方角からの射撃、時折それにまぎれて位置を確認するように繰り出される斬撃。 砂塵に視界を奪われた状態でかわそうと思ってもかわしきれるものではなくシャイニングは負傷していく。 しかし、かわしきれないと悟ったギンガナムはその瞬間から射撃を無視し繰り出される斬撃を待った。 そして、グランチャーが周囲に姿を現したその刹那殴り飛ばすとその方角に向かって最大戦速で突貫していった。 砂塵を裂いて吹き飛ばされたグランチャーは体勢を立て直して砂漠に着地した。 そして、前方にソードエクステンションを突きつけギンガナムが追ってくるときを待つ。 ここで朽ち果てるわけにはいかない理由がジョシュアにはあった。 その思いを確認するように胸に手を当てて見る。いつしか自分の中に落ち着いてしまったもの――自分の中のラキが熱を帯びてくる気がした。 その熱がジョシュアとラキ、二人分のオーガニックエナジーをグランチャーに与え、つきつけた銃口はそれまでにない光をたたえていた。 砂塵の中に突撃してくるシャイニングの影が映る。 この一撃に全てを賭けてジョシュアは最後の引き金を引き絞った。 シャイニングガンダムを貫くはずだった光が霧散する。 そして、それは意外にも二人の脳裏から忘れ去られた一人の少女がもたらした。 ジョシュアが引き金を引き絞ったあの瞬間、グランチャーに通信を続けわめき続けていた少女の声色が不意に変わった。 「そうか・・・お前は・・・お前は違うのだな。オルファンの抗体となるべきものではないのだな!何故だ!グランチャー、何故こんな奴を乗せている。お前は私の子だろ!!」 グランチャーに激しい動揺が走り――― 「なっ、動かない!」 ―――本来の主を目の前にしてジョシュアを拒絶する。 「シャアアアアアァァァァァァァァイニングッッッッッッッッッ!!!!!!!」 焦るジョシュアの心情とは裏腹に無情にもコックピットから映し出されている外の情景、その中の一つ光り輝く手のひらが見る間に大きくなっていく。 「フィンガアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・!!!!!!!!」 やがてそれが視界いっぱいに広がりジョシュアはグランチャーの頭部がこの手に捕まったということを悟る。そして、同時に急速に迫ってくる死を身近に感じた。 シャイニングガンダムの光り輝く右腕のエネルギーが収縮しグランチャーの頭部を破壊する。その過程の最後の数瞬、 瞼の裏に映ったのはラキの笑顔――― 胸の内を占めたのはラキへの想い――― 負けられないっ――― 「動け!動いてくれグラン!!」 ジョシュアはあがいた。相手の声も、通信から流れる少女の声も耳には届かず一人コックピットでなおもあがき続ける。 そして次の瞬間、グランチャーは自らを掴んでいる右腕の肘から先を斬りおとした。 吊り上げられていた状態から自由になったグランチャーはその場に崩れ落ちる。 本体から切り離されたシャイニングの右腕はそれでもしぶとくグランチャーの頭部をつかみ続けていたが今のグランチャーにそれを振りほどく余力はなかった。 しかし、ヒットエンド直前までエネルギーを溜め込んだ腕は帯電している。 再び動いてはくれなくなったグランチャーの中、ジョシュアは自分でも驚くほど冷静な目でその腕を観察していた。逃げられないという判断を頭が下す。 心はあきらめるなと叫び体はあがき続けていたが頭野中はとても冷めたく静かだった。 それならばと思い。残された時間、ジョシュアはラキの中にある自分の想いが彼女の行く道を助けてくれること願った。 「ラキ・・・」 言葉にしようとしてそれも許さず、行き場をなくしたエネルギーが膨張して爆散し、同時にジョシュアの意識は途絶えた。 唐突にH-2地区に爆音が響き渡った。その地区の北東の端の一角に大破した赤い機体と薄桃色の機体がただずんでいる。 戦場に到達したアイビスが目にしたのは光り輝く右腕に吊り上げられ力なく垂れ下がるグランチャーの姿だった。 その瞬間、自棄にも似た気持ちは霧散し助けなきゃという気持ちがアイビスの全てを満たした。その思いが誰かの同じ思いと重なりブレンは跳躍する。 「グランチャー、その腕を切り落とせ!」 オープンチャンネルを介して知らない少女の声が聞こえてきたが気にもならなかった。が、次の瞬間シャイニングの右腕を切り落とすグランチャーが目に入った。 ほっとするのもつかの間、追撃をかけようとするシャイニングの目の前にブレンはジャンプアウトすると体当たりを仕掛ける。不意をつかれたシャイニングはあっけなく弾き飛ばされた。 そして、ただひたすら遠くへとだけ願ってグランチャーの腕を掴みブレンパワードは再び跳躍したのだった。 そして現在、大破したグランチャーを前に四肢に力なくへたり込んだアイビスは呆けていた。真っ白な頭は何も考えることができなければ、涙もわいてこなかった。 『ラキ・・・』 ただ最後に耳にした言葉、その言葉が脳内に残りただひたすらにその場から逃げ出したい思いに駆られているだけだった。 【ジョシュア・ラドクリフ 搭乗機体:クインシィ・グランチャー (ブレンパワード) パイロット状況:爆死 機体状況:大破(上半身が消失している)。右手のソードエクステンションは無事 現在位置:H-2北東部 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】 【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ヒメ・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:茫然自失 機体状況:ブレンバー等武装未所持。手ぶら。機体は表面に微細な傷。バイタルジャンプによってEN1/4減少 現在位置:H-2北東部 第一行動方針:その場から逃げ出したい 最終行動方針:……どうしよう 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】 【紫雲統夜 搭乗機体:ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A) パイロット状態:良好 機体状態:無傷 現在位置:H-1 第一行動方針:戦いやすい相手・地形を探す 第二行動方針:敵を殺す 最終行動方針:ゲームに優勝】 【クインシィ・イッサー 搭乗機体:真イーグル号(真(チェンジ)ゲッターロボ~地球最後の日) パイロット状態:興奮、困惑、やや疲労 機体状態:ダメージ蓄積、 現在位置:B-1市街地上空 第一行動方針:ギンガナムの撃破(自分のグランチャーを落された為逆恨みしています) 第二行動方針:ガロードを問い詰める。場合によってはお仕置き 第三行動方針:勇の撃破(ユウはネリーブレンに乗っていると思っている) 最終行動方針:勇を殺して自分の幸せを取り戻す】 【ガロード・ラン 搭乗機体:真ジャガー号(真(チェンジ)ゲッターロボ~地球最後の日) パイロット状態:全身鞭打ち・頭にたんこぶその他打ち身多数。 機体状態:ダメージ蓄積 現在位置:B-1市街地上空 第一行動方針:お姉さんを止める 第二行動方針:お姉さんに言い訳をする 最終行動方針:ティファの元に生還】 【ギム・ギンガナム 搭乗機体:シャイニングガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状態:気分高揚、絶好調である!(気力135) 機体状態:右腕肘から先消失、胸部装甲にヒビ、全身に軽度の損傷、ENほとんど空 現在位置:A-2北東部砂地 第一行動方針:倒すに値する武人を探す 最終行動方針:ゲームに優勝】 【神 隼人 搭乗機体:YF-19(マクロスプラス) パイロット状況:良好(但し、激しい運動は危険) 機体状況:良好 現在位置:B-1市街地上空 第一行動方針:真ベアー号の確認 第二行動方針:クインシィとガロードの援護 第三行動方針:高高度からの、地上偵察。 第四行動方針:二人以上の組との合流(相手が一人の場合、少なくとも自分から接触する気はない) 最終行動方針:主催者を殺す 備考:まだ完全にクインシィとガロードを信用しているわけではありません】 【残り47人】 【時刻:17 45】 BACK NEXT パンがなければお菓子をお食べ 投下順 いい人たち 血に飢えた獣達の晩餐 時系列順 ガンダムファイト BACK 登場キャラ NEXT ブレンとグラン ジョシュア ブレンとグラン アイビス オーガニックな機体とニュータイプの邂逅 混乱 ギンガナム マイペース二人 混乱 統夜 殺し合い 混乱 クインシィ 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅 混乱 ガロード 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅 人間様をなめるなよ 隼人 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅
https://w.atwiki.jp/suparobobuast/pages/35.html
オリジナル パイロットブランクシート
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/285.html
山の中からコンニチワ ◆OWmug8uCw 午後5時55分。突如A-8の立つ一つの山の一部が突如盛り上がった。 「クックックッ、まさかこんな惨めな思いをして脱出する破目になるとはねぇ」 男の声が発せられ盛り上がった大地から赤い機体が這い出てきた。 孫光龍の乗るレプラカーンである。彼はオーラーバトラーの頑丈さと器用さ、オーラーバリヤーの力、 そして虫という大地の中を移動できる生物の特性、入り口を塞いでいる岩と比べて軟らかいと思われる土砂 から穴を掘り脱出路を作るということを思い至った。 ハイパー化という手段もあるが力を温存することと実際に穴を掘れるかを可能であるかどうか を調べるため即実行をしたのである。 「まあ、古人曰く切り札は最後まで取っておくべきと言うらしいから仕方がないかな」 故に彼はこのような惨めな状況に追い込んだギム=ギンガナムに対して怒りを燃やす。 そうしていると、どこからともなく殺し合いの場に似つかわしくない声が聞こえてきた。 午後6時に流れる放送を聞き孫光龍は喜悦を浮かべる。 「フッ、あの馬鹿はまだ死んでいなかったのかい。これはいい、僕の手で屈辱を晴らすチャンスがありそうだ」 そうしてご褒美と禁止エリアの情報が流れていく。 「あぶない、あぶない。ノロノロしていると首輪がボン!!と爆発するところだったよ」 ご褒美のことは気にはなったものの彼にとっては優勝すればノイ・レジセイアを主とすればいいため 特に興味はない。だが、主催者の力は信じるに足るものだと直感してはいるが かつてαナンバーズが強大な力を持つ敵達を撃ち滅ぼしたように主催者を撃ち滅ぼす者達が現われる かもしれないため安易に優勝を目指したりはせず、変化していく状況における己の取るべき道を 見極めようとする。ノイ・レジセイアを倒すか、それともすべての参加者を皆殺しにするかを。 (まあ、僕とレプラカーンの力があればハイパー化しさえすれば 疲弊した奴らを皆殺しすることなんか訳無いんだけどね) とりあえずは、当初の予定どうりに情報収集と己の力を上回る主を見つけるために市街地を目指すことにした。 【孫光龍 搭乗機体:レプラカーン(聖戦士ダンバイン) パイロット状態:良好 機体状態:全身が土砂で汚れている オーラキャノン一発消費、グレネード二発消費、ハイパー化の兆し在り、顔の牙消滅、左脚部切断 現在位置:A-8 第一行動方針:二時までにA-8から移動する 第二行動方針:ギンガナムに打ち勝つ 第三行動方針:情報収集のためにA-1の市街地を目指す 第四行動方針:己の力を上回る主を見つける 最終行動方針:生き残る】 【初日 18 10】 本編87話 巨虫、岩を打ち抜いて
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/32.html
魔神、起動! ◆T6.9oUERyk 「・・・光子力ビームにミサイルパンチ・ブレストファイアーか。すごいなこりゃ、動く弾薬庫だ。」 陽光がさんさんと降り注ぐ硝子張りのコクピットの中、ガロードは嘆息した。 彼が引き当てたカード、それは並みのMSとは比較にすらならない、 それこそガンダムクラスをも上回る重武装・重装甲の要塞のごときロボット“マジンガーZ”。 「このスロットルが出力系で、このスイッチがロケットパンチか・・・」 天性の操縦センス故か、ガロードはMSとはまるで異なる操縦システムを次々とモノにしてゆく。 一通りチェックを済ませ、ガロードは改めて現実的な思考に戻る。 殺しあい 戦禍で荒廃した世界を腕一つで生き抜いてきたガロードである、 当然自分の手を汚したことも一度や二度ではない。必要とあればこの手で人を殺すことに躊躇いもない。 しかし同時に、彼は人を殺すということを忌避すべきモノであると知っている。 死なないで済むなら、殺さないで済むのならそれにこしたことはない。 「とりあえず、ティファがいなくて良かった。」 このゲームで最初に集められた、あの金髪の女性が殺された場所にティファの姿は無かった。(代わりにとある兄弟がいたが) 彼女は巻き込まれていない、と考えていいだろう。 最大の懸念が晴れ、ガロードの思考は一つの目標へと集約していく。 生き残る どんなに絶望的でも、どれだけ無謀でも、ガロードは諦めない。 生きている限り足掻き続ける、死んだ後のことは死んだ後に考えればいい。 「ティファ、待ってろ。オレは絶対に生きて帰るからな!!」 少年の咆哮に応じるように、漆黒の魔神は重々しく第一歩を踏み出した。 【ガロード・ラン 搭乗機体 マジンガーZ:(マジンガーZ) パイロット状況:好調 機体状況:良好、スクランダー無し 現在位置:B-1 第一行動方針:周囲の捜索 最終行動方針:ティファの元に生還する】 BACK NEXT 悩める少年 投下順 赤い彗星 悩める少年 時系列順 アンチボディ、二体 BACK 登場キャラ NEXT ガロード マジンガーZvsゲッターロボ!
https://w.atwiki.jp/parecharge/pages/330.html
オーダー名 [37]気軽なアウター探し オーダー主 カナ(17歳) 事情 今日はアウター探しに来たんだぁ♪気軽に着られるのがいいなぁ。可愛いハーフコートってあるかなぁ? 欲しいもの ハーフコート 予算 500 Lv ☆ ジャンル キュート 待ち時間 5分 カラー 指定なし 備考 Exコーデ例 型紙 カラー パターン[pT]・プリント[pR]・パーツ[pA] 費用 評価(レア/ジャンル) 備考 ハイウエストコート 01 [pT]ボーダー柄A 01、花柄D 02、ドットリボンA 01×3 960 予算500G理論値4280(1000/3280) ラビットケープ 01 [pT]チェック柄A 02、ノイズA 01、ドットリボンA 01×2、花柄D 01 960 予算500G理論値4280(1000/3280) 未検証 ハイウエストコート 01 赤 04 [pT]ボーダー柄A 01、ヒヨコA 02、ドットリボンA 01×4 1010 4380(1100/3280) 46 ハーフニットコート 01 茶 01 [pT]ノイズA 01、モダン柄A 02[pA]コサージュB 01、ハートバックルベルト 01×3 2660 4880(1600/3280) 39 ポンチョ 02 赤 04 [pT]ノイズA 01、モダン柄A 02[pA]ハートバックルベルト 02×4 2860 4980(1700/3280) 46 ハーフマント 01 赤 04 [pT]モダン柄A 02、花柄D 01[pA]ハートバックルベルト 02×4 2910 5080(1800/3280) (1280) キュート/ハーフコートを編集する
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/371.html
(怯えているのだ……この私が怯えている!? この謂われのない感情を喚起するものは何だ!? こ、これは生理反応でしかない。理性で克服できるはずだ! こんな……こんな不条理な感情!) アムロに言ったはずの言葉をもう一度己に言い聞かせる。 それでも、悪寒は消えない。振り切れない恐怖が、苛み続ける。 「う、う、うわぁぁーーっ!!」 その叫びとともに、瓦礫の中ロジャーの意識は再び戻った。 目の前にあるのは、ビッグオー……ではなく凰牙のコクピット。 光はメインカメラからも側面モニターからも確認できない。 僅かに映る黒いものの輪郭から、ロジャーは今自分が瓦礫にいることを理解した。 荒い息を必死に整えようとするが、おさまらない。 いつか見た地下の悪夢が、頭にフラッシュバックする。 「外は……あの主催者はどうなっている!?」 凰牙を動かそうとするが、あまりの圧力にびくともしない。 少しのすきまでもあれば勢いで吹き飛ばすこともできるが、密着するように敷き詰められた瓦礫は動かすことも難しい。 いくら動かそうと動かない現状。何をしても無駄という状況が逆にロジャーを落ち着かせた。 行動をやめれば、熱は引く。当然の話だ。 そうなると浮かぶのは最悪の状況。もしや、自分以外、すでに死んでいるのではないかという不安。 いや、そんなあるはずがないとロジャーの理性は言う。しかし、感情はそれを否定した。 終わったのか。自分たちのやったことは、所詮、主催者の前ではうたかたの夢だったのか。 それを思い知らされるほどの戦力差。 ロジャーの体が沈む。 ただ、ぼんやりすることしかできない。 ふと、空気はどれだけ持つのだろう、そのまま自分は朽ちるのかと思い、 それすら関係ないと頭を振った時、 「ロジャー! ロジャー、どこ!?」 外から聞こえてくるのは、アイビスの声だった。 「どこにいるの!? 答えて!」 生きていたのか。ということは魔王は去ったのか。 そのロジャーの問いを否定するように、激しい地響きが聞こえてきた。 これは、戦いの印だ。 つまり、まだ魔王と戦うものがいる? 馬鹿な、勝てるはずがない。このまま黙っていろ。そう感情が訴える。 しかし――ロジャー・スミスをロジャー・スミスたらしめる理性と記憶(メモリー)が許さなかった。 「私はここだ! ここにいる!」 ロジャーは、通信機に声を張り上げる。 すると、ロジャーの前にあった瓦礫がはじけ飛ぶ。 目の前にいたのは、ソードエクステンションを構えるブレンだ。 「助けて! シャギアとカミーユが戦ってる!」 ロジャーは、はっと気付き、シャギア同様怯えていた自分を恥じた。 通信に映るアイビスに、恐怖の色はない。ただ、未来を信じ、切り開こうとするひたむきさがあった。 自分は、いったい何をしていたのか。ほんの少しでも恐怖に震えたことが馬鹿馬鹿しい。 「凰牙、アークションッ!!」 凰牙が再び起動する。 瓦礫を払い、立ち上がる黒金の巨人。 その巨人の前に広がるのは、ただひたすらに吼えながら巨大な魔王に立ち向かう二人の青年の姿だった。 しかも押している。再生されても、ひたすら、諦めず押し続けている。 「手伝って、ロジャー! あたしじゃいい考えも浮かばないし……力が足りない! あれを倒すのに、凰牙とロジャーの力を、あたしとブレンに貸して!」 今にも戦場へ飛び込んで行こうとするアイビス。 ロジャーは、なぜか笑いがこみあげてくるのを止められなかった。 笑うロジャーを見て、ポカンとするアイビスに、口の端を小さく吊り上げロジャーは言う。 「この世界にもいつか太陽が昇る。そう信じている若者は素晴らしい。 そして……青春は降りかかる現実を有り余る勢いで押し切ること。ロジャー・スミスの法則だ」 自分もまだまだ若いつもりだが、と小さくロジャーは付け加えた。 ロジャーは、目の前の戦いを凝視する。こうして戦いを遠くから俯瞰できるのは自分とアイビスだけだ。 冷静さといままでの記憶(メモリー)を振り絞れ。 一分、二分と時間だけが過ぎる。 ロジャーは、頭を全開で回転させる。 ビックデュオ、ゴースト、多くのメガデウス……それらの戦いを機転でロジャーは乗り越えてきた。 今、もう一度その閃きを自分へ手繰り寄せる。 この状況でなお札を伏せる余裕はあるとは思えない。ならば、今目の前で起こる戦いが相手の全てのはず。 蒼い魔王は、巨大化したことと、バイタルジャンプができること以外は以前と同じだ。 かならず、どこかに突破口があるはずだ。 アイビスの焦る声が、さらにロジャーを煽る。 しかし、ロジャーもそうそう思い付くものではない。 なにか、ヒントが欲しい。目の前に与えられた記録だけでは足りない。 せめて、複数方向から見ることができれば。例えば、見上げるような今の位置からではなく空から―― 「空?」 空。その一言が急激にロジャーの頭をまとめる。 そうだ、空だ。それが唯一蒼い孤狼が動きを鈍らせた場所だ。 相手が動けない状況に持ち込み、こちらの最大の攻撃を叩きこめば―― 一瞬、またアムロのようになるではと考えがよぎる。 だが、頭を振る。そんなことを悩んでいては進まない。 賭けるしか、ない。 自分の行動が、全てを決めるかもしれない。 潰されそうなプレッシャーがロジャーにかかる。 しかし、それでもなおロジャーは不敵に笑う。 私は、私だ。私自身の記憶(メモリー)から導いた考えを信じずになにを信じる。 「どうやら空は常に、我々の味方のようだ」 ロジャーは、アイビスに自分の計画を打ち明ける。 それは、アイビスにとっても危険が大きいものだった。 だが、アイビスは迷うことなく頷いた。どこまでも強い娘だ。 データウェポン・バイパーウィップを左腕に凰牙が装着する。 一度目を閉じ、ゆっくりと目を開く。 迷いを断ったロジャー・スミスが動き出す。 ◆ ■ ◆ 「おおおおおお!!」 ガンダムF-91・ヴァサーゴの手のビームソードが蛇のように伸び、魔王にかみついた。 蒼い魔王の装甲をもぎ取り、さらに突き刺す。その動きは、クローアームによく似ていた。 サイバスターの手の中の剣が、渦巻く風を纏い疾走する。 細剣、一閃。明らかに剣より広い範囲の装甲を、一撃で切り飛ばす。 「お前のような奴はここにいちゃいけないんだよ!」 サイバスターから溢れた光が、青い魔王を打ち付ける。全身くまなく光にやられ、蒼い魔王がたたらを踏む。 その光の中、ヴァサーゴが蒼い魔王の眼線に迫る。魔王は、そのF-91の全長はあろうかという角を振り回した。 しかし、それはヴァサーゴの揺らめく蜃気楼を引き裂いただけだった。 「いいか、これは甲児の分だと思うといい」 コツンと、音を立て、先ほどまで赤熱していた角にヴェスバーが押し付けられる。 ヴァサーゴが引き金を引くと、そこから溢れた光が、角をへし折る。 それだけにとどまらず、魔王の頭が完全に消滅する。即座にビームソードが、ぽっかり空いた首に入り込んだ。 植物と機械が混じり合った内側がかき混ぜられ、肩などから汚わいな液体がこぼれた。 不死鳥に姿を変えたサイバスターの突撃。 しかし、先ほどまでとは熱量が違う。燃えるような赤の炎ではなく、収束させさらに火力を高めた青い炎。 首を失いながらも、必死に軸をずらす蒼い魔王。さらに、左手をかざし、不死鳥に叩きつける。 魔王の左腕が空を舞う。さらに、その脇腹を抉り飛ばした。 ―――ヲオオオオオオヲヲヲヲヲオオオオ……… 首を失い、抉られた空洞から響く苦悶の声。 間違いない。蒼い魔王は、初めて苦しみ、己の不利を感じている。 さらに追撃を仕掛けようとするが、魔王はバイタルジャンプで二機から逃げるように距離を取る。 損傷部分が何度もなく弾け、光を放ち、再生していく。 アムロの力を吸い取った結果が、この燃えるような生命エネルギーによる再生能力だった。 肩で息をするように、機体の上半身を上下させる魔王。 「ありえない……認めていない……!」 サイズ比そのままに巨大化し、威力を高めた5連チェーンガンが打ち出される。 だが、その悪意を掻い潜り、さらにヴァサーゴとサイバスターは肉薄した。 ヴァサーゴのハイパービームソードが、サイバスターのディスカッターが、蒼い魔王の両腕を落とす。 魔王は、姿勢制御用のウィングを展開、スラスターで空に飛び上がる。 そして、その勢いのまま大地に落下した。 鋼鉄の巨獣のスタンピートが、大地を貫き、地盤を沈下させる。 最初の落下よりもはるかに広い範囲のビルが倒壊した。 激しく動き回り、攻撃を阻む間に魔王は再び腕を再生させる。 「再生が早い……!」 シャギアは、ガンダムF-91ヴァサーゴの中で顔をゆがませる。 あまりにも再生速度が速すぎる。しかも、その巨体から繰り出される攻撃は強力無比で、一撃でも当たれば落とされる。 バイタルジャンプと言う切り札まで相手が持っているため、その体を削り切るよりも早く再生されてしまう。 「それでもやらなきゃいけないんだよ!」 オクスタンライフルに、サイバスターの風の力が収束する。 撃ち出されたBモードの弾丸が、風の力を受けて碧に輝き、蒼い魔王を貫通する。 このまま行けば、サイバスターとヴァサーゴのエネルギーが尽きるのが速いか、 それともあちらの再生力が尽きるのが先かの勝負になる。 あれだけの巨体が保持しているエネルギーを考えれば、無謀に思える勝負だ。 ヴァサーゴと、サイバスターが攻め立てる。 戦闘力では、蒼い魔王を凌いでいながら、倒しきれないが故に勝てもしない。 消耗戦だけが続いていた。 どこまでも続く繰り返しの中、サイバスターとヴァサーゴが戦い続ける。 徐々に、エネルギーがつき始めている。このまま、では、早晩落ちることは間違いない。 あともう一つ、手があれば。それを何度も呟きながらも、状況は変わらず続いていく。 もうすぐ、ヴァサーゴの状態を維持する限界だ。 「アイビス! 用意は終わっているか!?」 「もちろんだよ!」 だが、間にあった。 カミーユとシャギア以外の声が、ついに現れる。 再び現れた、ブレンと凰牙。 「そちらは、最大の攻撃を用意してほしい!」 「信じていいのか?」 その答えは、ロジャーの笑み。 その顔は、自信に満ち溢れていた。 「存在は……許されない……破壊する!」 蒼い魔王の声に、もう恐怖はない。 「いくよ、ブレン!」 ヴァサーゴの横を通り抜け飛ぶブレンが消えた。 その姿は見えない。だが、見えなくても場所は、すぐに分かる。 魔王が、背中を掻くようにもがく。しかし、次の瞬間魔王の姿は空高くにあった。 「騎士(Knight)凰牙、ファイナルステージ!」 左手の鞭が伸びあがり、凰牙の頭上で回転する。稲妻を何重にも纏い、大嵐を巻き起こす。 それが持ち主の意志に呼応し、まっすぐに蒼い魔王に飛ぶ。 アルクトスに伝わる電子の聖獣が一体、バイパーウィップのファイナル・アタック。 鞭の先端が、プラズマを帯び、加速して射出される。 ブレンが、背中からバイタルジャンプで離れる。その直後、蒼い魔王にファイナルアタックが直撃する。 ただ一発当たっただけではなく、文字通り蛇のしつこさで何度となく魔王の手を掻い潜り複雑な軌跡を描きぶつかっていく。 そして――気付いた時には蒼い魔王の体を締め上げる。絶え間なく流れ続ける紫電が、蒼い魔王を叩く。 ブレンにとって、極度に負担がかかる状況でバイタルジャンプはできないし、無理に行えばどこに飛ばされるかわからない。 おそらく、蒼い魔王も、状況は同じ。ならば、常に締め上げ圧力を加え続ければ回避はできないのだ。 大地にいるならおそらく、その質量で強引に突破も可能かもしれない。 だが今、魔王はブレンのバイタルジャンプのために空にいる。 空は、唯一魔王が自由にできない空間だ。 「今だ!」 ロジャーが、サイバスターとヴァサーゴに檄を飛ばす。 「ここからいなくなれぇぇぇ!!」 空が澄んだ青に染まる。精霊光の輝きがサイバスターの周りを飛ぶ。 穏やかな光が、一気に四つに収束した。青と緑の中間に近い色合いのそれが、輝きを増す。 サイバスターの組んだ腕が、集積した力の大きさに震えた。 世界の理を塗り替える、局地的な宇宙の新生――コスモノヴァ。 どこまでも広がる青空へ、夜の闇を変える。 「いけええええええ!!」 「何故だ……!」 放たれた極光が、蒼い魔王を討つ。 目を開くこともできないほどの光が、魔王を包む。 「次は、私だ……!」 もし、死者は消えないというのなら。オルバが、甲児が、ヒメくんが見ているというのなら。 今この一瞬だけでもいい。力を、貸して欲しい。そう――人間として。 排熱で背後の空気が歪む。放出される黒ずんだ金属の塵が、何かを形作る。 F-91ヴァサーゴの背中に黒い六本の翼が広がった。 それはヴァサーゴを超えたヴァサーゴ。 ―――ガンダムF-91ヴァサーゴ・チェストブレイク! 深紅の腕が、金色に変わる。握ったビームソードが、巨大な上二本、下一本の金色の爪になる。 翼をはためかせ、ヴァサーゴ・チェストブレイクが飛ぶ。インパクトの瞬間――爪が相手に合わせてさらに巨大化。 竜の顎〈アギト〉の如く、金色の爪が魔王を上下から挟みつぶした。 「何故……完全に……近付ける―――!」 唯一拘束を逃れた杭打ち機が、ヴァサーゴ・チェストブレイクに迫る。 しかし、杭打ち機の部分だけが突然蒼から紅に色を変え――自分の胸の中心にある球体に打ち込まれた。 「――今まで使ってくれた分、上乗せして返してもらうぞ!」 『何故だ――何故――こんなことが―――』 男の声に、人間の感情が宿る。それとは別に、言いようもない淀んだ声が場に響いた。 この声は間違いない。あの、最初の時のノイ・レジセイアの声。 「言ったはずだ。 『もし貴様が人間を取るに足りない存在だと驕っているのなら、遠くない未来貴様は再び打ち砕かれる』とな。 忘れたか? それとも、俺の言葉など覚える価値もなかったか!?」 『何故――――』 球体に杭を打ちながらも、指ではっきりと胸の赤い球体をキョウスケは指す。 「カミーユ! ここを撃て! 撃ち貫け!」 「あああああああああああああああああああああああああああ!!」 蒼い炎を纏いながら、オクスタンライフルをまっすぐに構え、サイバスターが疾走する。 ライフルの先端が、杭打ち機で割れた隙間に飛び込む。 繰り返されるゼロ距離射撃。 ひび割れていく赤い球体。 『何故―――――完全な生命に―――――!!』 最期に聞こえたのは、ノイ・レジセイアの絶叫だった。 【アムロ・レイ 死亡】 【兜甲児 死亡 】 【キョウスケ・ナンブ 死亡】 【残り 12人】 「本当に、行くのか? 意味があるとは思えないが……」 「それは行ってみなければわからない。今の私の目で見て、なにか分かることがあるか……それを知りたい」 凰牙とF-91が向かい合う。 その横では、力を使い果たし動かないブレンとサイバスター。 アイビスとカミーユはずっと気を張っていた。緊張の糸が切れたのだろう。 気絶……なのだろうがその顔は随分と安らかに見える。 塗装がはげ、ヴァサーゴとしての状態が切れた今のF-91は全身灰色だった。 もしも見る人が見れば、こう言ったかもしれない。PS装甲を切ったガンダムのようだ――と。 シャギアは、自分が基地跡に行くことをロジャーに告げた。 アムロが言ったとおり死者は消えることなく、今もオルバと自分がつながっているとしたら。 何もなくても構わない。それでも弟が潰えた地に行きたいと。 「無論、24時までは会談の場所に行く。私の地図には基地とここの途中の補給ポイントも記録されている」 「だが……」 おそらく自分が襲われることを心配しているのだろう。 ならば、答えは一つ。かつてのように、自信を持って、答える。 「お任せを。 わたしの愛馬は凶暴です」 そう言って、空を見上げる。空には、一面赤い光が渦巻いていた。 あの球体を砕いた瞬間溢れた光が夜空を染めた。それと同時、この世界にあったノイ・レジセイアの邪気は消失したのだ。 何故自分にそんなことが分かるかはたいしたことではない。分かるから、分かる。理由はいらない。 大切なことは、おそらくもうこの世界への奴から横やりはないということだ。 「決着は、人の手でということか」 いまや沈黙している蒼い魔王。いや、もはやそれは魔王ではなくただの孤狼。 コクピットには誰もいないにもかかわらず、誰かがいた暖かさだけが残っていた。 おそらく、最期にあの男が遺したものだろう。 まだポカンとしているロジャー・スミスをおいて、F-91がスラスターを吹かす。 「ガナドゥ―ルのレース・アルカーナは回収しておくといい! あれを増幅し射出すれば空間突破には十分のはずだ! 空間突破に必要な四つの攻撃のうち、反応弾も合わせJアークが沈まないかぎり三つを確保できる!」 「ま、待て!」 その言葉を無視し、F-91は空を飛ぶ。 視界は、見渡す限りの空が広がっていた。 【共通の行動方針 1:24時にユーゼスと合流。現状敵対する意思はない 2:ガウルン・キョウスケの排除 3:統夜・テニア・アキトは説得を試みる。応じなければ排除 4:ユーゼスとの合流までに機体の修理、首輪の解析を行い力を蓄える】 【カミーユ・ビダン 搭乗機体: サイバスター パイロット状況:強い怒り、悲しみ。ニュータイプ能力拡大中。疲労(大)気絶 機体状況:オクスタン・ライフル所持 EN30% 現在位置:D-3 第一行動方針:ユーゼス、アキトを「撃ち貫く」 第二行動方針:遭遇すればテニアを討つ 最終行動方針:アインストをすべて消滅させる 備考1:キョウスケから主催者の情報を得、また彼がアインスト化したことを認識 備考2:NT能力は原作終盤のように増大し続けている状態 備考3:オクスタン・ライフルは本来はビルトファルケンの兵装だが、該当機が消滅したので以後の所有権はその所持機に移行。補給も可能 備考4:サイバスターと完全に同調できるようになりました】 【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:精神は持ち成した模様、手の甲に引掻き傷(たいしたことはない) 気絶 機体状況:ソードエクステンション装備。ブレンバー損壊。 EN50% 無数の微細な傷、装甲を損耗 現在位置:D-3 第一行動方針:使える部品を集めて機体を修理する 第二行動方針:協力者を集める 最終行動方針:精一杯生き抜く。自分も、他のみんなのように力になりたい。 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】 【ロジャー・スミス 搭乗機体:騎士凰牙(GEAR戦士電童) パイロット状態:肋骨数か所骨折、全身に打撲多数 機体状態:右の角喪失、 側面モニターにヒビ、EN0% 現在位置:D-3 第一行動方針:殺し合いを止める。機体の修復 首輪の解析 第二行動方針:首輪解除に対して動き始める 第三行動方針:ノイ・レジセイアの情報を集める 最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイトに値しない相手は拳で解決、でも出来る限りは平和的に交渉) 備考1:ワイヤーフック内臓の腕時計型通信機所持 備考2:ギアコマンダー(黒)と(青)を所持 備考3:凰牙は通常の補給ポイントではEN回復不可能。EN回復はヴァルハラのハイパーデンドーデンチでのみ可能 備考4:ハイパーデンドー電池4本(補給2回分)携帯 備考5:バイパーウィップと契約しました】 【シャギア・フロスト 搭乗機体:搭乗機体:ガンダムF91( 機動戦士ガンダムF91) パイロット状態:健康 ニュータイプ能力覚醒 機体状態:ビームランチャー消失 背面装甲部にダメージ ビームサーベル一本破損 頭部バルカン砲・メガマシンキャノン残弾100% ビームライフル消失 ビームソード保持。 EN5% 現在位置:D-3 第一行動方針:基地へ行き、オルバが亡くなった場所へ行ってみる。 第二行動方針:ガウルン、テニアの殺害 第三行動方針:首輪の解析を試みる 最終行動方針:主催者の打倒 備考1:首輪を所持】 ※ 戦場跡には、無傷、無人のアルトアイゼン・リーゼが放置されています。 【二日目20 30】 BACK NEXT life goes on(1) 投下順 Alchimie , The Other Me life goes on(1) 時系列順 Alchimie , The Other Me BACK 登場キャラ NEXT life goes on(1) アムロ life goes on(1) カミーユ Alter code Fire life goes on(1) アイビス Alter code Fire life goes on(1) 甲児 life goes on(1) ロジャー Alter code Fire life goes on(1) シャギア Alter code Fire life goes on(1) キョウスケ
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/134.html
とある竜の恋の歌 ◆C0vluWr0so D-8市街地。二エリアに渡って広がるあまりにも巨大な街並みはひっそりと静まりかえっている。 そこに住人の影は無く、本来なら煌々と夜の街を照らすはずの街灯も暗黙を保ったまま。 閑散とした街の更に外れにある、自然の姿を人工的に残した野外公園に巨人の影が一つ。 巨人の足下には依頼主を亡くしたネゴシエイターが一人。 ネゴシエイターの足下には物言わぬ骸が一つ。 その側には、巨人――騎士鳳牙によって掘られた穴が一つ。 ネゴシエイター、ロジャー・スミスは今は亡き依頼主、リリーナ・ドーリアンの亡骸を前に立ちつくしていた。 彼女を埋葬すべく、自らの怪我の処置もほどほどに鳳牙を走らせたロジャー。 彼の胸中にあるものは悔い。自分の至らなさのせいで依頼主をむざむざと死なせてしまったことに対する後悔の念。 もしも自分が最初の接触の時点でテッカマンエビルを名乗る男を倒せていれば―― もしも自分が即座にテッカマンエビルとリリーナ嬢を発見し、少女を救出出来ていれば―― いくら悔やんでも悔やみきれない気持ちはいくらでも募ってきた。 しかし、それで歩みを止めるわけにはいかないということも重々承知している。 「リリーナ嬢。貴女の遺志はこのロジャー・スミスが引き継ごう」 一張羅が血で濡れることも気にせず、ロジャーは少女の骸を抱き上げる。 あれほどまでに凛々しい目を持ち、気高き矜持を最後まで貫いた女性をこのままの姿で晒すことはロジャーのプライドが許さなかった。 リリーナの遺体を抱き上げた瞬間、骨折の激痛がロジャーの脇腹に走る。 本来ならば即座に治療をし、安静を保たなければいけないような重傷の身。 それでもネゴシエイターは揺るがず、堂々と胸を張り少女を抱きかかえる。 「なに――気にすることはない。依頼主死すとも依頼は死なず。ネゴシエイター、ロジャー・スミスのささやかな矜持だ」 鳳牙によって穿たれた墓穴へとリリーナの骸を丁寧に下ろしたロジャーは、少女の首にはめられた首輪をそっと抜き取った。 今現在、ロジャー達反主催を掲げる者にとって一番のネックは各々の首に巻かれた首輪だ。 この首輪が殺傷能力を持ち、あの化け物の思い通りにその効果を発揮するというのは明らかだった。 ロジャーは思い出す。 胸糞が悪くなるほどに素敵なこのゲームの参加者、その全てが集められた最初の部屋の光景を。あそこで行われた凄惨な殺戮を。 自分たちがこのままあの化け物に挑もうとも、あの悪趣味なショーと同じ光景が主催者に歯向かう無謀な反逆者の首の数だけ行われるだけだろう。 だが、この首輪さえ外せば条件はイーブンだ。 たとえあの人外の化け物が如何に強力な力を備えていようとも、お互いが対等な立場にさえ立ってしまえばいくらでもやりようはある。 そのためのネゴシエイション、そのためのネゴシエイターだ。 この首輪が主催者打倒の切り札になる――そう確信し、懐に収める。 「リリーナ嬢……。私は、貴女のような気高く美しい女性に出会えたことをとても嬉しく思う」 少女の言葉はネゴシエイターとしての誇りを思い出させてくれた。 夢物語ではあったが、少女の語る理想は夢を信じるに値するものだった。 リリーナとの出会いは、交わした言葉の一つ一つはロジャーの心に深く刻まれている。 最後に死者への祈りを捧げ、ロジャーは墓から背を向ける。 そのまま鳳牙へと乗り込むと、今度は少女の亡骸を埋め始めた。 「だからこそ――この殺し合いに乗った者は許せない。貴女の信念に反することになろうとも、交渉に値しない輩はこの拳をお見舞いしてやるのが私の主義でね」 リリーナの身体が土中に埋もれていく。 埋葬される少女の表情は、自分が死んだということさえ理解していないかのように穏やかだった。 おそらく痛みも何も感じることなく逝ったのだろう。それだけがせめてもの救いだと言うのは、死者に対してあまりにも失礼だろうか。 少女の埋葬を終え、ロジャーは墓標代わりに白石を置く。 「私は死者に縛られるわけにはいかない。君の説いた理想を叶えるためにも、そしてなにより生き残るためにだ。 君とはここでお別れだ。ロジャー・スミスはリリーナ・ドーリアンの遺志を引き継ごう。 だが君との繋がりはここに置いていく」 止まるわけにはいかない――そう決めた。 少女の死を思い返し、感傷に浸る暇は無い。そんな時間が有るのなら、その分一人でも多くの命を救い、前へ進み続けよう。 この無意味な争いを止めることが、完全平和主義を説いた少女への何よりの弔いなのだから。 これからの方針を考えながら、ロジャーは鳳牙を走らせる。 この傷の処置をすませた後、一度ユリカ嬢のところへ戻ろう。 彼女の乗る巨大な機体ならば、もしかするとこの首輪を解析する機材が備えられているかもしれない。 主催者に生殺与奪の権利を握られている以上、このままでは表立っての反抗は出来ない。 あのテッカマンとか名乗った男も、手応えはあった。 おそらく相応の痛手は負わせられたはずだ。なにより生身のままではそう遠くまではいけないはず。 ひとまずは仲間を集め、それぞれの身の安全の確保、そしてあの怪物を打ち倒すだけの戦力の充実を図ることが先決だ。 6時間の間に出た死者――それを殺した殺戮者たちも、徒党を組み、十分な戦力を揃えた集団には手を出せないだろう。 ある程度の方針が見えてきたとき、薬局の看板が目に入ってきた。 これは幸運と機体から降り、ロジャーは店内へと入っていく。 様々な薬の並ぶ商品棚を一つ一つ物色し、鎮痛薬や包帯、ギプスなど目当ての物を手に取ると、早速手当てを始める。 「しかし、これはまた派手にやられたな」 骨折数カ所に全身打撲、この場にあの無愛想な少女がいれば、 『ロジャー、あなたって本当に――』と小言の一つでも言うだろう、と想像しながら苦笑する。 そうだ、自分はあの世界へ再び帰らなければならない。 手早く怪我の処置を終えると、ネゴシエイターは立ち上がる。 目指すは巨竜、無敵戦艦ダイだ。 「さぁ行こうか騎士・鳳牙。この争い――終わらせるぞ!」 ◇ ミスマル・ユリカは無敵戦艦ダイの中、一人ぽつりと座っていた。 少女の顔には疲労の色が浮かび、どこか落ち着かない様子をしている。 はぁ、とため息を一つつくと、操縦席に深く腰をかけ直す。 「ガイさん……大丈夫、なのかな……?」 少女が気にかけるのは、ここに来て初めて出会ったはずの――でも、何故か昔から知っているような気がする仲間。 ガイと――そう名乗った彼は、ユリカが知る一人の少年とは、全然違う。 それでいて、とても似ている。 「アキト……」 思わず口に出てしまう想い人の名前。 「アキト……うん。あたしは、大丈夫。絶対あなたのところに帰るから……だから、少しだけ待っててね」 胸の奥底から湧き出る確かな想いを噛みしめながら、ユリカはより強く願う。 この殺し合いからの生還と、愛する人との再会を。 その時少女はこちらに接近してくる機影に気づく。 敵襲かと身構えたが……違った。それは別れた仲間の機体だった。 既にその四肢は失く――しかしそれでもユリカを守った仲間。 尋ねたいことはあった。でも。 なんとなくだが――それは、聞いてはいけないことのような気がした。 だからその代わりに、たった一言だけ告げる。 「お帰りなさい……ガイさん」 「……ああ、……ただいま、ユリカ」 四肢をもがれたバルキリーはダイの元へと帰還する。 過去を捨てた男は過去の少女と再会し、幸せな未来を夢見る少女は未来の想い人と出会う。 それは本来有り得ない邂逅。 だからこれは――このバトルロワイアルの中で起きた、とても貴重な幸せの瞬間だった。 ◇ ユリカとアキトの再会から遅れること数分。 ユリカを目指して北上していたネゴシエイター、ロジャー・スミスもまた、二人との合流を果たしていた。 三人は別れてからこれまでの経緯とこれからの方針について話し合う。 もちろん三人とも最終目標は主催者を倒し、生きてこの空間から脱出、元の世界に帰ること。 しかし、ロジャーがテッカマンエビルとの戦闘について話し始めたとき、ユリカが小さな悲鳴を上げる。 「ロ、ロジャーさんっ! それ本当ですか!? な、ならあたしは……。 ど、どどどどうしよう!? 早く助けに……いや、その前に……!」 「ユリカ嬢、どうしたんだ!? まず落ち着いて、それからゆっくり話してくれ」 「ユリカ、大丈夫だ。落ち着いてくれ。……俺たちがいない間に、何かあったのか?」 二人からなだめられ、冷静さを幾分か取り戻したユリカは一刻たりとも無駄に出来ないとばかりに早口にまくしたてた。 「あたし、やっちゃいけないことをしてしまったんです。今からこの三機で周辺の探索を開始します! 要救助者を発見したらダイのところへ連れてきてください! それでは各機散開!」 当然ながらさっぱり話の要点がつかめない。 困惑した表情を浮かべながらロジャーがユリカを問いつめる。 「ちょっと待ってくれ、私たちにも何があったか詳しく話してくれないか? そんなことを言われて、はいそうですかというわけにもいかないだろう」 「人の命がかかってるんです! おいおい通信で話しますから、それまで我慢してください。 多分……生身のまま、倒れている人がいるはずです。その人を捜してください!」 「だからユリカ嬢、それでは分から――」 「把握した。探索に移ろう。」 納得できないと憮然とした表情を浮かべるロジャーに対し、アキトはさっさと探索を開始。 黙々と作業を始めるアキトの姿に、ロジャーも渋々ながら探索を開始した。 ロジャーの胸中はあまり平穏とも言えなかったが……この後のユリカの告白は、そんなモヤモヤなど一瞬で吹き飛ばすほどのものだった。 「何だって!? それではつまり……ユリカ君は」 「……はい。あたしは……ただ生身で歩いていただけの人を、撃ってしまいました。 だから! 少しでも早く助けないといけないんです!」 「そうか……。それでさっきはあんなに慌ててたのか。 よし分かった。私も本腰を入れて捜索に当たろう。この周辺にいるのかい?」 「はい。あたしが見たのは……ええと、そこのビルの影の辺りでした。 もし爆撃に巻き込まれたなら……まだ近くに、いるはずです」 そこまで言うと、ユリカは大きく息を吐いた。 アキトがモニター越しにユリカの様子を窺うと、青ざめた顔をして機体を操縦している。 明らかに疲れを押して捜索活動に力を注いでいるユリカに、アキトは休憩するように促したが―― 「ダメです! 人の命がかかってるんですよ。あたしだけのうのうと休むなんて出来ません」 「……だが、このまま作業をさせるわけにもいかない。捜索は俺たちに任せて君は休んでおけ」 「……ガイさん、あたしだって生半可な気持ちで言ってるんじゃありません。 一人より二人、二人より三人で探した方が結果も良いに決まってます」 「それで大事なときに動けなくなったらどうするつもりだ? 何時敵襲があるかも分からない。 君は艦長をしていたと言っていたが……それだって多くの人員がいたからこそだろう。 君一人で出来ることには限りがある。今は休んで今後に備えるのが君の仕事だ」 「――! そんな言い方無いじゃないですか! あたしはあたしなりに考えて――」 「分かった分かった。二人ともそこまでにしておきたまえ。 ほらユリカ嬢、そんな表情をしていてはせっかくの綺麗な顔が台無しだ。 君が疲れてるのは誰が見ても明白だよ。ここはガイ君の言うとおり私たちに任せてもらおうか。 その代わり、君には一つ頼まれごとをしてもらいたい」 ユリカとアキト、険悪な雰囲気になりつつある二人の会話に割って入ってきたのは、ロジャーの提案だった。 「ここに首輪が一つある。……リリーナ嬢の首に巻かれていた物だ。これを君に託そう。 見たところ、ダイは戦艦というよりもむしろ移動基地としての側面の方が強いようだ。 ならば機体の整備、ひいては開発のための設備を内蔵している可能性が高い。 後は――分かるね?」 ロジャーの提案に頬を膨らましながらもユリカは了承。 「……はい。私にどこまで出来るかは分かりませんが……やれるだけのことはやってみます」 ロジャーはユリカへと首輪を渡す。その後、早速ロジャーとアキトが市街の探索を始めたのだが―― 「どうだガイ君? その脚部はまだ使用可能かね?」 「いや……どうやら爆撃の直撃を受けたようだ。修理するより新しく造り直したほうが早い、といった状態だな」 「そうか……こちらにあった機体も使えそうにない。どうやら収穫は殆ど無いとみてよさそうだ」 ダイの爆撃を受けた市街地のダメージは予想以上のものであり、YF-21の脚部やドスハード(これは元々運用不可だったが)など、戦力面の補充は期待出来そうになかった。 生存者の発見も絶望的かと思われたその時、ロジャーが地中へと繋がる穴を発見。 どうやら地下通路の類らしい。もしもこの穴ぐらの中へ入り込み、爆撃を避けることが出来たならば。 「たとえ生身でも生きている可能性はある――ということか」 「そういうことになるね。しかも――この通路、機動兵器が通った後がある。もしかするとその機体の持ち主に保護されたのかもしれない」 「その可能性もあるな。それで、どうするつもりだ? この奥へと探索範囲を広げるのか?」 「そうしたいところだが、この通路は少々狭すぎる。 私の鳳牙ではどう見ても通れそうにないし、ガイ君の機体でも難しいだろうな。せめて脚部が無事ならまだやりようもあったろうが、この狭い穴ぐらの中を戦闘機が飛ぶというのもナンセンスな話だろう」 「するとこの通路の探索は諦めると?」 「おっと、そうは言っていないよ。確かに機体のままならば通れない――だが、この身一つで飛び込むには十分な広さだ。機体から降り、私が調べてこよう。 なに、心配することは無い。この周辺と機動兵器の痕跡を確認する程度に留めるつもりだ。 それと……彼女を一人には出来ない。君はここへ残って周辺の警戒を頼む」 「……了解した。ユリカ聞こえたか? 今から俺がそちらへ戻る。ロジャーはこのまま地下通路の探索を続行だ」 ユリカから了解の返事が届くと、ロジャーはアキトへのプライベート回線に切り替えた。 「……ガイ君。私が言うのもなんだが、君がユリカ嬢に会ったのはここに来てからではないな? 君はユリカ嬢とは同じ世界の人間で……しかもかなり親しい間柄と見た。彼女は君の素性を知らないのかい?」 「……俺はユリカとはここで初めて出会った」 「いーや、嘘だね。これでも私はネゴシエイターだ。下手な嘘で騙そうとしても無駄だよ」 「……貴様には関係ない。これは……俺だけの問題だ」 「……そうか。なに、そう言うのなら無理に聞く気はない。少なくとも私よりは君のほうが彼女のなだめ役に向いていると分かっただけでも十分だよ……っと」 やれやれ、一方的に切られてしまったか……と、ロジャーは無愛想な仲間の行いに苦笑した。 (確かに彼ら――というより彼個人か? 深い問題があるようだ。それがこれから先、悪い方向に転がらなければ良いが……) 「しかしこのような問題は他人が立ち入ったところで良くなるようなものでもない――先ほどは少しばかり余計な口出しだったかな?」 と、ネゴシエイターは自分の言動を省みる。 一呼吸置いた後、ロジャーは鳳牙から降り、地下通路の探索を開始した。 ◇ 首輪を託されたはいいが、機器の扱いに関しては素人であるユリカがどうこう出来る物ではなく。 ラボに置かれていた研究器具も、彼女の世界とは違う科学体系に因るものだったこともあり、下手に触れば爆発する可能性を秘めている首輪の解析は、挑戦さえも出来なかった。 ダイの操艦部へと戻り、首輪の表面をなでる。あまり心地よい感触では無い。 半分機械、半分生き物、とでも言えばいいのかは分からないが、とにかく冷たい無機質な感触も、温かみのある生き物のそれとも違う不思議な感触は、ユリカが初めて見る物質によるものだった。 紅い宝石のようなものが埋め込まれ、一見装飾品のように見えないこともない。 だが、ぴったりと首に吸い付くように巻かれている首輪には、それをつけるとき必ず必要なはずの繋ぎ目が見あたらない。 「不思議だなぁ……。どうやってつけたんだろ? やっぱりこのナマモノっぽいところが伸縮したりしちゃうのかな?」 ユリカの疑問も募るばかり。 と、それまで聞き流していた通信から自分の名前が聞こえてきた。 「……ユリカ聞こえたか? 今から俺がそちらへ戻る。ロジャーはこのまま地下通路の探索を続行だ」 「えっ、あっ、はい。ロジャーさんは地下通路、ガイさんがこちらに戻るですね。了解しました」 地下通路についてなど把握出来てないこともあったが、とりあえずは了解の返事を送る。 モニターにはこちらへと飛んでくるガイ機の姿が映っていた。 ◆ 「えっと……ガイさん、その……先ほどはあたしも少し取り乱していたというか……」 探索から戻ってきたアキトとの沈黙の時間……それに耐えられなくなったユリカの口から出たのは、先ほどの無礼に対する謝罪の言葉だった。 「……いや、気にすることはない。さっきは俺も少々感情的になりすぎた」 それに対するアキトの返答も、思いはユリカのそれと同じ。 「……はい! でも、やっぱりこういうのは言っておかなきゃいけませんよね。 改めて……すいませんでした、ガイさん。あたしも……二人がいない間に、考えたんです。 ああ、ガイさんの言う通りかもしれない……って。 あたしが艦長をしてた艦……ナデシコって言うんですけど、――――って感じで」 だいぶ普段の調子を取り戻しつつあるユリカに安心し、アキトも会話を続ける。 「いつもの調子に戻ってきてるみたいだな。安心したよ」 「あ……」 「どうしたんだ?」 「いえ、その……ガイさんって、あたしの大切な人に……似てるんです。 なんでかなー? 口調や雰囲気なんかは全然違うんですけど……。時折見せてくれる優しさ? みたいなのが」 「それは光栄だな。その彼について……少し話してくれないか?」 「えっ、いいんですか? えっとぉ……、彼、アキトっていうんです。 小さいときからの運命の恋人っていうか……。アキトはかっこよくて優しくて…… たまーに優柔不断なところもあるんですけど、それも彼の優しさだろうし…… 何より、あたしのこと……大切にしてくれるんです。それが……一番好きなとこかな?」 アキトはフ、と微笑むとユリカに対して問いかける。 「一つだけ聞こう。君は今……幸せかい?」 その問いに込められた思いに気づくことなくユリカは即答する。 「はい! あたしは……とっても幸せです!」 その返事を聞いてアキトはどこか悲しげに、しかしユリカの幸せを祝福し、軽く頷いた。 「そうか……きっと、そのアキトって奴も……幸せだと思うよ」 「はい、アキトもあたしも幸せです! だって二人は愛し合ってるんだから! ……って、なんだかあたしのおのろけ話になっちゃってるような……」 「フフ……確かにそうだな」 忘れていた幸せの瞬間――アキトは今まで失ってしまっていた感情と、それにすぐに順応してしまった自分に驚いていた。 あの頃の自分はこうして笑っていたなと、もう思い出の中にしか存在しない自分の姿を思い出す。 このままユリカとずっと二人で……ふとそんな考えが頭に浮かんだとき。 それは叶わない夢だということをアキトは知る。 「ガイさんにはいないんですか? 大切な……人」 たとえ今会話をしている相手があの頃のユリカだったとしても。 変わらぬ笑顔がこちらに向けられていたとしても。 自分は変わってしまった。 今の自分はユリカの愛したテンカワ・アキトではない。 過去を捨てた……復讐鬼なのだ。 「ああ、……いたよ」 「あっ、やっぱり! ガイさんって一見無愛想だけど実は優しいですもんね。女の子なら放っておきませんよぉ!」 「いた。だが……もういない」 「……! す、すいません……あたし……」 「君が謝ることはない。……少し周辺を見てこよう。ロジャーの話ではまだ近くにテッカマンと名乗る好戦的人物が潜伏しているらしい。 君はその間に休んでおくといい。何かあったらすぐ連絡するように……分かったね?」 「……はい、分かりました。……ガイさん、最後に一つだけ……聞いてもいいですか?」 「……なんだ?」 「あなたは……」 あなたは……。そこから先の言葉が続かない。聞きたいことは、言いたいことは頭の中ではしっかりと文章を作っている。 『あなたは……アキトなの?』 たったそれだけの言葉が言えない。 たった五文字。でもそれを言うことは他の言葉を百述べることよりも、千紡ぐことよりも難しかった。 言葉が続かない。 ユリカの口唇は半端に開かれたまま何の音も発することは出来なかった。 「……いえ、何でもありません。気をつけて行って来てください」 「……ああ」 バルキリーは夜空を切り裂き羽ばたいていった。 ユリカは思う。 自分が聞けないのは……もしかしたら心の奥底でそれを認めているからではないかと。 今までアキトのことを誰よりも見てきた自分だからこそ分かる。 やっぱりガイさんは……アキトだ。 何であんな格好をしているのか分からない。ユリカの知るアキトとは雰囲気だって全く違う。 それでも自分の全感覚は彼がアキトなんだと言っていた。 「今度ガイさんが帰ってきたら……その時こそ絶対聞こう」 少女はそう決心するとずっと張りつめていた緊張の糸をほぐす。 思えば夕方戦闘になってからずっと緊張しっ放しだ。 んー、と背伸びをしてから、どっかりと椅子に座り込む。 深く椅子にもたれながらユリカはじわじわと迫ってくる睡魔の存在に気がついた。 あっ、ダメ……今寝ちゃったら……でも……ちょっとくらいなら……。 気づけば少女はすうすうと寝息をたてはじめていた。 「……ユリカ君? 聞こえているか?」 探索を終えたロジャーからの通信も、眠れる少女の耳には届かない。 ロジャーが行った探索の結果は、決して芳しいものではなかった。 生身での移動ということもあり、探索範囲が酷く狭かったことも原因の一つ。 例の機動兵器の移動跡についても、地下通路を通れるサイズの機体であることくらいしか分からなかった。 ……いや、もう一つある。 地下通路の中には、人為的に押し広げられちょうど人が通れるようなサイズの亀裂があり、そこには金色の装甲片が付着していた。 おそらくはその機動兵器が亀裂を広げた時に剥がれた物だろうが……金色をパーソナルカラーとするパイロットなど存在するのだろうか? その機体の持ち主はよっぽど派手好きだったのだろう。 「よほどのセンスの持ち主と見える。一度お会いしてみたいものだ」 と、黒で全身を覆うネゴシエイターは肩をすくめる。もしこの場にあの少女がいたならば、 『ロジャー、貴方のセンスもよっぽどだわ』などと言ってくれたろうに。 「しかしガイ君といいユリカ君といい、どうしてこう協調性に欠ける人間ばかり揃っているのか……まさかそれがこの場に呼ばれた理由ではあるまいが」 と、いまいち歩調の合わない仲間に対してロジャーは苦笑する。 思えばこの馬鹿げた殺し合いが始まってから既に半日が過ぎようとしている。 その間出会った者たちはどれもこれも一筋縄ではいかないくせ者ぞろい。 しかし不思議なのはその殆どが戦闘技術に長けた者であるということ。 (これはなぜだ? あの怪物はなぜ私たちを選んだ?) 相手の目的を知り、それに見合った行動をとることがネゴシエイトの鉄則である。 この首輪を解除し対等な立場に立ったとき、肝心のネゴシエイトに失敗しては元も子もない。 怪物の情報――それもまた必要だった。 「為すべきことは多い。まったく先が思いやられるね」 まぁ今は――何処かへ行った王子の代わりに眠り姫のお供というのも悪くはないな、と鳳牙はダイに寄り添うようにその身を座らせた。 ◇ 夜闇に紛れ、ダイの動向を見張る機体が一つ。黒と赤のカラーリングが施されたそれは、獲物を見つけ、喜びに奮えていた。 「そうか……。アレがお前を堕落させているモノかい?」 ククク、とガウルンは嗤う。その目は燦々と輝き、唇は醜く歪んでいる。 まるで子供が念願のおもちゃを買ってもらったかのような喜びの顔を見せ舌なめずりをする格好は、彼の愛する軍曹に言わせれば三流の為すこと。 確かにガウルンは兵士としては三流と評されるかもしれない。だが、それはあくまで"兵士"としてだ。 こと戦闘だけに限定して言えばガウルンは超がつくほどの一流なのは間違いない。 そして超一流の戦闘狂が駆るのは、超一流の武闘家、東方不敗マスターアジアの愛機であるマスターガンダム。 俊敏なその動きなら、鈍重なトカゲの一匹、即座に喰うことが出来るだろう。 「フフフ……さぁて、楽しいパーティの始まりはもうすぐだ。楽しみだねぇ……実に楽しみだ」 まだダイに手は出さない。アレを壊すのは――アイツが帰ってきてからだ。 自分と同類のあの男は、目の前でアレを壊された時どんな顔をするだろう? 決まっている。 この上なく上等な憎しみの目をこちらに向け、火がつくような憎悪を滾らせ――アイツはきっと、自分を殺しに来るだろう。 ……と、いけないいけない。と、九竜は愛しいカシムの顔を思い浮かべ、逸る気持ちを抑える。 「焦るなよ、ガウルン。お楽しみはこれからだ。あの男を徹底的に壊すチャンス――それを待て。 何、それはそう遠くない。腹を空かせてメシを待てば、いつもより美味しく頂ける理屈だぜ。 ……まぁ、あれだけ旨そうな獲物だ。すぐに頂くのも悪くはねぇなぁ」 ククク……、と狂人は再度嗤う。 【ロジャー・スミス 搭乗機体:騎士凰牙(GEAR戦士電童) パイロット状態:体力消耗、肋骨数か所骨折、全身に打撲多数 機体状態:左腕喪失、右の角喪失、右足にダメージ(タービン回転不可能) 側面モニターにヒビ、EN90% 現在位置:D-7補給ポイント 第一行動方針:アキトの帰還を待つ 第二行動方針:ゲームに乗っていない参加者を集める 第三行動方針:首輪解除に対して動き始める 第四行動方針:ノイ・レジセイアの情報を集める 最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイトに値しない相手は拳で解決、でも出来る限りは平和的に交渉) 備考1:凰牙は通常の補給ポイントではEN回復不可能。EN回復はヴァルハラのハイパーデンドーデンチでのみ可能 備考2:念のためハイパーデンドー電池二本(補給一回分)携帯 備考3:ワイヤーフック内臓の腕時計型通信機を所持】 【ミスマル・ユリカ 搭乗機体:無敵戦艦ダイ(ゲッターロボ!) パイロット状態:浅い眠り、精神的にはやや不安定なまま 機体状態:大砲一門破損、左前足損傷、腹部装甲損壊 現在位置:D-7補給施設 第一行動方針:眠……あふ…… 第二行動方針:ガイに自分の疑問をぶつける 第三行動方針:ガイの顔を見たい 第四行動方針:首輪解除が出来る人間を探す 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考1:YF-21のパイロットがアキトだと知りませんが、ある程度確信を持っています アキトの名前はガイだと思っていますが若干の疑問もあります 備考2:ハイパーデンドー電池8本(補給4回分)回収 備考3:首輪(リリーナ)を所持】 【テンカワ・アキト 登場機体:YF-21(マクロスプラス) パイロット状態:やや衰弱 機体状態:両手両足喪失、全身に損傷 現在位置:D-7西部 第一行動方針:市街地周辺の探索 第二行動方針:ユリカを護る(そのためには自分が犠牲になってもかまわない) 最終行動方針:ユリカを元の世界に帰す(そのためには手段は問わない)】 【ガウルン 搭乗機体:マスターガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状況:疲労小、DG細胞感染、気力120 機体状況:全身に弾痕多数、胸部装甲破損、マント消失、ダメージ蓄積 DG細胞感染、損傷自動修復中、ビームナイフとヒートアックスを装備 現在位置:D-7 第一行動方針:アキトの目の前でダイを壊す 第二行動方針:近くにいる参加者を殺す 第三行動方針:アキトを殺す 第四行動方針:皆殺し 第五行動方針:できればクルツの首を取りたい 最終行動方針:元の世界に戻って腑抜けたカシムを元に戻す 備考:九龍の頭に埋め込まれたチタン板、右足義足、癌細胞はDG細胞に同化されました 】 【初日 22 00】 BACK NEXT 広がる波紋 投下順 失われた刻を求めて 広がる波紋 時系列順 爆熱! ゴッド晩ごはん!! BACK NEXT 例え死者は喜ばずとも ロジャー 鍵を握る者 噛合わない歯車 追う鬼、追われる鬼 ユリカ 鍵を握る者 噛合わない歯車 休息 アキト 鍵を握る者 噛合わない歯車 休息 ガウルン 鍵を握る者 噛合わない歯車
https://w.atwiki.jp/himaitame/pages/1629.html
暇だから女友達にイタメール その1108 640 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/09(木) 23 33 12.94 ID 0iXZAOZvO ノシ 641 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/09(木) 23 33 48.62 ID 82G2Gyhz0 640 kwsk 653 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/09(木) 23 35 04.82 ID /Se2jvunO スパローまってたお!もぐらとどうなった? 656 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/09(木) 23 37 10.25 ID 0iXZAOZvO 昨日の夜におろしたてのYシャツが破れた件wwwwwwwww 658 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/09(木) 23 38 23.35 ID 0hHNygKC0 656 ちょwwwwwwwwwwwwwwkwsk 704 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/09(木) 23 52 47.86 ID 0iXZAOZvO 昨夜の報告 行動安価だす? →携帯電池切れ →帰宅 →部屋真っ暗 →? →漏れ「もぐらー?いないのー?」 →真っ暗なリビングの隅っこでうずくまるもぐらハケーンwww →漏れ「も、もぐら?」 →もぐら「スパローは一体なんなmq.hdg.tdgnpt」 →聞き取れなかったお(^ω^) →もぐらにつかみかかられる →もぐら「ねぇ!?なんなのよ!?あたしの事好きじゃないの!?今の状況が不満なの!?」といいながらYシャツの両袖をつかみ前後に激しく揺らす →漏れ「違うんだって!もぐらがかわいいか →もぐら「それが本気かどうかわかんないって言ってるのっ!!」グイッと袖を引っ張り →ビリッッッッ! と、ここまでがさっきの件なwwwwww 706 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/09(木) 23 54 22.12 ID WAUpVOHi0 704 ずいぶん重い子だな… 732 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 00 01 43.87 ID YRhPpnW70 704乙 電池切れたのかよ みんな待ってた 762 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/10(金) 00 13 26.30 ID o+H1MqpZO 昨夜の報告 続き とりあえずなだめる →もぐら泣き続ける →漏れ「漏れに直して欲しい所があったら教えてよ」 →もぐら「冷たくしないでって言ってるじゃん」 →漏れ「冷たくってどういう事?」 →もぐら「メールで帰れって言ったりキャバクラ行くって言ったり、勝手にご飯食べてきたり…」 →漏れ(ちょwwwwそれ全部イタメwww)「ごめんね…」 →もぐら「それが信じられないんだもん」 →漏れ「じゃあ、さっきもメールで言ったけど、明日早く帰るから、なんかおいしいもん食べに行こ?」 →もぐら「行かない。どうせまた日付変わらないと帰って来ないんだから…」 →漏れ「まぁ、仕事はやっぱり大事だしな!」 →もぐら「もう実家帰る…」 →漏れ「え!?マジで!?」 →もぐら「スパローとの事、もう一回ちゃんと考えさせて」 →漏れ「わかった…」 →もぐら「スパローはあたしの事嫌いになった?」 →漏れ「ううん!もぐらは?漏れの事嫌いになった?」 →もぐら「好きだよ!好きだけど今のままじゃその気持ちもなくなっちゃいそうで怖いの…」 →漏れ「そっか…」 →朝一緒に家をでる→仕事終わって会社から報告←今ココ 856 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/10(金) 00 31 31.23 ID o+H1MqpZO 生存確認メール 漏れ「まだ起きてる?」 もぐら「遅くまでお疲れ様☆まだ起きてるよ♪」 870 870 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 00 33 28.17 ID zlGixlW00 俺って何なんだろうな? 嫌われるってわかっているのにあんなことしかメールできない… 素直じゃないって言えば聞こえはいいけど タゲにとって見れば遊ばれているようにしか思えないよな… でもこれだけは信じてほしい。 俺は多分タゲが好きなんだ。多分って付くけどごめんな。 最後に、タゲのせいで熱っぽいんだから責任取ってくれよな。 こんな俺だけど返信待ってる。いつまでも待ってる。 長くてごめんな。 879 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/10(金) 00 34 49.83 ID o+H1MqpZO 『スパロー』 ・性別 [♂] ・年齢 [23] ・特徴 [178cm62kg] ・性交渉経験 [それなりにある] ・相手との関係 [同棲解消初日www] ・相手に送るメールの方向性 [おまいらのハイクォリティーに期待するw] 『もぐら』 ・性別 [♀] ・年齢 [23] ・特徴 [ちびっこい。泣き虫] ・性交渉経験 [あり] 『その他』 ・タゲに対する自分の思い [好きなんだか好きじゃないんだかwww] ・勇者との仲の良さ [まだ脈はあるかw] ・タゲの詳細 [イタメ始めてからメンヘルっぽくなったかもwww] 『NGライン』 ・タゲが死なない程度にVIPクオリティを期待するw 882 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/10(金) 00 36 08.85 ID o+H1MqpZO ごめ。 再安価 900 900 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 00 38 17.94 ID ONT3X/D70 忘れもんがあるそれもってけ 2度と会いたく無いけど仕方が無い 909 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 00 42 36.83 ID zlGixlW00 900には鬼畜の香りしかしない。 910 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/10(金) 00 42 44.61 ID o+H1MqpZO 900返信 「二度と会いたくないってどういう事!?やっぱりあたしの事嫌いになった??」 920 920 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 00 44 35.43 ID Au5o2VKo0 お前に会わせる顔がない… 921 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 00 44 35.21 ID dKpfuKUB0 違うよ!忘れ物は俺のことで、二度と会いたくないってのは、恋人として会いたくないって事。 つまり、俺のお嫁さんになってあってくれないかって事。 927 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 00 45 29.74 ID YRhPpnW70 920GJ!!! 935 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/10(金) 00 47 37.29 ID o+H1MqpZO 920返信 「それどういう意味??」 945 945 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 00 49 33.48 ID xRz6mzF/0 ksk 安価なら 921 972 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/10(金) 00 56 00.85 ID o+H1MqpZO 945返信 「あたしもう傷つくのはいやだよ?」 安価は次スレ? 暇だから女友達にイタメール その1109 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 01 00 41.35 ID dKpfuKUB0 名前:スパロー ◆qQyOPA3D16 [sage] 投稿日:2006/03/10(金) 00 34 49.83 ID o+H1MqpZO 『スパロー』 ・性別 [♂] ・年齢 [23] ・特徴 [178cm62kg] ・性交渉経験 [それなりにある] ・相手との関係 [同棲解消初日www] ・相手に送るメールの方向性 [おまいらのハイクォリティーに期待するw] 『もぐら』 ・性別 [♀] ・年齢 [23] ・特徴 [ちびっこい。泣き虫] ・性交渉経験 [あり] 『その他』 ・タゲに対する自分の思い [好きなんだか好きじゃないんだかwww] ・勇者との仲の良さ [まだ脈はあるかw] ・タゲの詳細 [イタメ始めてからメンヘルっぽくなったかもwww] 『NGライン』 ・タゲが死なない程度にVIPクオリティを期待するw 20 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/10(金) 01 02 51.12 ID o+H1MqpZO 1乙華麗 安価 30 30 :ドイツ ◆LfVIPgB6lA :2006/03/10(金) 01 05 20.19 ID OKwAOSiM0 33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 01 05 38.33 ID US7B3Rvo0 再安価 34 :ドイツ ◆LfVIPgB6lA :2006/03/10(金) 01 05 45.45 ID OKwAOSiM0 ちょ・・・orz ごめんなんさお 36 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/10(金) 01 07 56.90 ID o+H1MqpZO 30おまwwwwwwwww 再安価 50 50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 01 10 05.24 ID 4z2e+bt6O ksk↓ 51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 01 10 19.56 ID dKpfuKUB0 もう絶対にお前を傷つけない。 もしも傷つけてしまったら、お前の言うことをたった100個だけ聞いてやる 72 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/10(金) 01 15 24.08 ID o+H1MqpZO 511返信 「じゃあスパローはあたしの言う事500個くらい聞いてくれなきゃだねっ(はぁと」 ちなみこいつは今ドコにいるんだ!?wwwwwwwww 85 85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 01 17 49.74 ID MiQ3ESDs0 ksk安価↓ 86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 01 17 50.73 ID YRhPpnW70 ちなみタゲは今ドコにいるんだ!? 105 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/10(金) 01 25 22.75 ID o+H1MqpZO 86返信 「あたしぃ!?もちろんスパローのお家だよっ(はぁと 今日はツナおろしスパだよっ(はぁと 昨日の夜はごめんね☆ 今日伊勢丹に行ったらすごくスパローに似合いそうなスカイブルーのYシャツ見つけたから買ってきたよ(はぁと はやく帰ってきてよぅ(はぁと」 ( ゚д゚)ポカーン 115やっぱり今日はおとなしく帰った方がいいのかな? 112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 01 26 22.03 ID dKpfuKUB0 105 ちょwwww実家に帰って無いじゃんwww 115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 01 26 44.01 ID Au5o2VKo0 じゃあ100個言う事聞くから今から風俗行って来る! 141 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/10(金) 01 34 04.46 ID o+H1MqpZO 115返信 「メモリーカード全部捨てるよ?(笑」 ああぁぁぁーそれだけは漏れの10年間の記録がぁぁ やめでゃぇあみあたさまらはさ スマソ 取り乱したorz 145もう帰ってもいいですか?(泣 145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 01 35 09.73 ID xRz6mzF/0 風俗は嘘だよ、ごめんね。 でも、デルヘルを家に呼ぶ予約しちゃったから、まじで帰ってくんないかな。。。 151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 01 36 05.72 ID iV6sGmxd0 145 これはもう駄目かもしれないね 164 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/10(金) 01 41 57.40 ID o+H1MqpZO 145返信 謝るのはあたしにじゃなくてその呼んだ子にでしょ?(笑 しかしたくさんあるねぇ。メモリーカード(笑」 いや。マジで。あれだけはwwwwwwwww 175 171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 01 43 17.05 ID KxrF70CS0 164 タゲに耐性ついてきてるなww 175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 01 43 32.81 ID Au5o2VKo0 そんなことしたら襲っちゃうぞ(「・ω・)「 がおー 179 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/10(金) 01 48 41.64 ID o+H1MqpZO 175返信 「わかったから早く帰ってきておいで(はぁと」 171えぇ。皆様のお蔭でwwwwwwwww まじでもう帰っていい? 180 180 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 01 49 00.26 ID YRhPpnW70 1時間後に帰るよ!! 今のタゲの写メちょうだい!! 183 :スパロー ◆qQyOPA3D16 :2006/03/10(金) 01 51 46.59 ID o+H1MqpZO 安価近すぎたorz 再安価 195 もう帰るぅ('A`) 195 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/10(金) 01 54 12.15 ID YRhPpnW70 1時間後に帰るよ!! 今のタゲの写メちょうだい!! スパロー7
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/364.html
投下順に読む Opening~100 101~200 時系列順に読む 第一回放送まで 第二回放送まで 第三回放送まで 第四回放送まで 参加者ごとに読む キャラ別追跡表 時刻 タイトル 登場人物 登場機体 場所 作者 18 00 第三回放送 アルフィミィ デビルガンダム ネビーイーム ◆ZqUTZ8BqI6さん 18 00 貫け、奴よりも速く キョウスケ ゲシュペンストMkⅢ D-7 ◆VvWRRU0SzUさん 18 30 伏せた切り札 全ては己が目的のために ユーゼスアキトガウルン統夜テニア メディウス・ロクスブラックゲッターダイゼンガーヴァイサーガベルゲルミル B-2A-2 ◆ZqUTZ8BqI6さん 19 00 銃爪は俺が引く ユーゼスアキト メディウス・ロクスブラックゲッター B-2 ◆VvWRRU0SzUさん 20 00 life goes on(1)life goes on(2) アムロカミーユキラアイビス甲児ソシエロジャーブンドルバサラシャギアキョウスケ ガンダムF91VF-22S・SボーゲルJアークネリー・ブレンストレーガガナドゥール騎士鳳牙サイバスターラーゼフォンゲシュペンストMkⅢ D-3 ◆XrXin1oFz6さん 20 30 moving go on(1)moving go on(2)moving go on(3)moving go on(4) アムロカミーユアイビス甲児ロジャーシャギアキョウスケ ガンダムF91VF-22S・Sボーゲルネリー・ブレンストレーガガナドゥールフォルテギガス騎士鳳牙サイバスターゲシュペンストMkⅢ D-3 ◆XrXin1oFz6さん 20 30 Alchimie , The Other Me ノイ・レジセイアアルフィミィアルフィミィ デビルガンダムペルゼイン・リヒカイト ネビーイーム ◆XrXin1oFz6さん 20 45 竜が如く ガウルン統夜テニアアルフィミィ ダイゼンガーヴァイサーガベルゲルミル H-3 ◆VvWRRU0SzUさん 2 00 Alter code Fire2nd IgnitionAdvanced 3rdAdvanced 3rd(2)The 4th DetonatorThe 4th Detonator(2)The 5th Vanguard ガウルン統夜テニアユーゼスアキトカミーユアイビスロジャーシャギアソシエバサラキラアルフィミィ ダイゼンガーヴァイサーガベルゲルミルメディウス・ロクスブラックゲッターF91Jアークネリー・ブレン騎士鳳牙サイバスターラーゼフォンアルトアイゼン・リーゼデビルガンダム E-3ネビーイーム ◆VvWRRU0SzUさん 2 30 彼方よりの帰還 カミーユアイビスロジャーアキト統夜ノイ・レジセイアAI1 サイバスターネリー・ブレン騎士凰牙アルトアイゼン・リーゼヴァイサーガペルゼイン・リヒカイトデュミナス ネビーイーム ◆7vhi1CrLM6さん 2 45 楽園からの追放者(1)楽園からの追放者(2) 統夜アキトロジャー ヴァイサーガアルトアイゼン・リーゼ騎士鳳牙 ネビーイーム ◆VvWRRU0SzUさん ??? ネクスト・バトルロワイアル(1)ネクスト・バトルロワイアル(2)ネクスト・バトルロワイアル(3)ネクスト・バトルロワイアル(4)ネクスト・バトルロワイアル(5)ネクスト・バトルロワイアル(6)ネクスト・バトルロワイアル(7)ネクスト・バトルロワイアル(8)ネクスト・バトルロワイアル(9) カミーユアイビスロジャーアキト統夜ノイ・レジセイアAI1 サイバスターネリー・ブレン騎士凰牙アルトアイゼン・リーゼヴァイサーガペルゼイン・リヒカイトデュミナス ネビーイーム ◆XrXin1oFz6さん